なぜ国も推進する「副業・兼業」を多くの企業は許可しないのか?

shutterstock_273856340
 

日本中で議論が巻き起こった「働き方改革」を受けて、国は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表しました。しかし、すでにさまざまな問題が浮上しており、会社側は副業・兼業を許可するか否かをよく考えて決めなくてはならない場面にきています。今回の無料メルマガ『新米社労士ドタバタ日記 奮闘編』では、に会話形式でわかりやすく副業や兼業のメリット・デメリット、問題点を紹介しています。

副業容認

政府が進める「働き方改革」を受け、2017年12月に「副業・兼業の促進に関するガイドライン」が公表された。2018年1月には厚生労働省作成の「モデル就業規則」においても、副業・兼業を容認する内容へと改正が行われている。急速に進む少子高齢化による労働力不足への対策の一つとして、今後は副業・兼業の普及促進が推進されていくことになるようだ。


新米 「国の副業推進の件、先月『副業、兼業の問題点』の資料を持って、説明に行ったばかりですが、案件が出てきました」

E子 「そうなの? どんな件?」

新米 「パートさんから副業の申請書が来たそうなんです。どのように考えたら良いでしょう?」

E子 「うーん、パートさんの案件なのね。パートさんのお仕事掛け持ちを認めている会社は多いけど、T社さんは就業規則上でパートさんにむけても『会社の許可なく、他の会社の従業員として労働契約を結んではならない』と明記しているから、許可するかどうかってことね」

新米 「そうなんですけど、今回、事前相談なしに『報告書』としてあがってきたそうなんですよね。会社に迷惑がかからない様に事前にお試し勤務もしたうえで、できるだろうと判断して『副業します。今後、確定申告は自分でやります』と言ってきたそうなんです」

E子 「え?お試し勤務? 許可を取る前にもう働いてしまってるの?」

新米 「そうみたいなんですよね。正式契約は来月からになるそうです」

E子 「就業規則が周知できていたかということもだけど、『労働契約を結ぶ』の意味がわかっていないのかもしれないわね」

新米 「正式に書面で契約していないから、契約を結んでいるとは思っていないってことですか?」

E子 「そう。契約は、書面でなくても口頭でも締結されていることを知らない人は多いかもしれないわね」

新米 「T社さんとしては、パートさんの雇用相談窓口を設置しているのに、事前相談ではなく、いきなり報告としてあがってきて、許可もしていないのに、勝手にどんどん進めていくのでどうもお怒りのようです」

E子 「そうなの、今度、私もついて行ってあげるわ」

print
いま読まれてます

  • なぜ国も推進する「副業・兼業」を多くの企業は許可しないのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け