あえて危険を冒す。山中伸弥教授に学ぶ「リスクテイカー」の信念

 

グラッドストーン心血管研究所でおこなったのがまさに遺伝子の実験研究で、そこでiPS細胞研究へと向かうきっかけになったのが同研究所の所長だったロバート・メイリー博士の「研究者としての人生を成功するためには目的をビジョンをはっきり持ってそのために一生懸命働く』」という言葉でした。ここから将来行う研究の目標と考え方が定まって行くことになります。

けれど、日本に帰ってからがまた一波乱で研究環境は劣悪で500匹の実験用のネズミを一人で面倒を見、周りの人からは「もうちょっと医学に関係することをした方が良いんじゃないか」と言われる始末で“うつ状態に陥り研究者を辞める一歩手前まで行く始末だったと述懐されています。

それが逆転したのは人間の「ES細胞」の作成があり、ダメもとで申し込んでいた奈良先端科学技術学院大学で研究室を持てることになったからでした。

自身の研究室を持てたことが契機となって、受精した胚細胞からつくる「ES細胞」ではなく、普通の皮膚などの体細胞を「初期化」することで「万能細胞」をつくるというビジョンがかたまりました。iPS細胞をつくりあげるのですが、そこには研究生活で成功の準備が整っていたこととなすべき能力を持ったことがその背景にあります。

ここで言いたいことは、ビジョンを持たずリスクも負わず「成すべき能力」の法則に則っとらず一生懸命働かずではiPS細胞は生まれようがないということです。「幸運の女神」は「成すべき能力」を身に付けた人が、永守重信の言う「すぐやる必ずやる出来るまでやるを行った時に微笑むようです。幸運も不運もすべてが非情であり、知恵ある人がそれをつかみ取ります。

<成すべき能力>

  • 時間を管理する:残されたわずかな時間を体系的に使うこと
  • 世の中への貢献に焦点をあわせる:成果に精力をむけること
  • 自らの強みに基準を据えること:上司、同僚、部下についても、強みを中心に据えること
    (山中教授の場合は、チームワークで仕事をするのが得意なようです
  • 力を集中すること:優先順位を決め、それを守ること「卓越性」を得るための優先順位を決定すること
    1.過去でなく『未来』を選ぶ
    2.問題ではなく『機会』に焦点を合わせる
    3.よこ並びでなく『独自性』をもつ
    4.無難なものでなく『変革』をもたらすものに焦点を合わせる
  • 成果をもたらすように意思決定を行うこと
  • 目線を高くすること:世のため人のためという目線の高さがなければ飛躍は無理である。必ず欲という落とし穴に落ち込む。

以上をよく再検討していただければ、人それぞれの個性にあった最高の形が構築できると思う次第です。

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【著者】 浅井良一 【発行周期】 ほぼ週刊

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