韓国を徴用工問題だけで見るな。日本が見えない「大きな物語」

 

中東情勢

米国はイランに対して、国際決済システム(SWIFT)へのアクセスを停止させて、ドルでの決済ができなくなった。イランと貿易する企業もこのシステムから排除すると言っていた。しかし、イラン原油を輸入している国でも9ケ国に対しては、当面制裁をしないとしたが、米国のイランへの制裁はかなり厳しい

EU、日本、中国などのイラン原油輸入国は、当初米国のSWIFTとは違う国際決済システムを作る方向であったが、制裁を緩和したことで、当面は別システムの構築をしないようだ。このことを交渉材料にして米国に譲歩を迫ったようである。

米国はトルコとの関係を回復し、サウジの反政府記者殺害で、サウジにカタールへの制裁を緩和させ、サウジとトルコの関係を修復する仲介をしているようだ。トルコはカタールを支援していて、この関係から対立している。

サウジはワハーフ原理主義のスンニ派でイランに対して厳しいが、トルコは穏健なムスリム同胞団のスンニ派でイランに対して寛容である。スンニ派と言いながら大きく違う。

しかし、この2つのスンニ派が対立していては、シーア派のイランに対抗できないので、トランプ政権のクシュナー上級顧問がイスラエル、トルコ、サウジを大同団結させるように動いているようである。

サウジがイエメン紛争に肩入れしているが、それも止めさせて、イラン打倒に向けたいようである。また、サウジは、米国の要請を受けて、OPECを解散して原油調整を廃止する方向に動き、原油価格を引き下げるようだ。この予測が出て、原油は1バーレル60ドル以下になっている。原油価格の引き下げをするのは、軍事費捻出に苦労するロシアに対するものである。米国はサウジをロシアから引き離したいようだ。

しかし、ロシアが中東地域に強力に軍事介入していて、誰もロシアには逆らえない。イランはシーア派地域を一体化して強力な軍事力を持っている。そして、ロシア主導のアフガン和平会議を開催して、中東での主導権を米国に見せつけている。勿論、この和平会談に米国は参加していない。 一方、米国は中東に空母を派遣できない。地中海にはロシア艦隊がいるし、ペルシャ湾はホルムズ海峡封鎖の可能性があり、紅海はマンダブ海峡封鎖の可能性があり、空母が近づけない。空母はアラビア海までであり、それならカタールの米空軍基地の方が近いし、効率が高い。 もう1つが、ロシアとの対決になる可能性があり、マティス国防長官は慎重である。 その慎重なマティス国防長官とケリー主席補佐官をクシュナー上級顧問やボルトン補佐官は辞任させようとしているようだ。中東政策が大きく違うことが原因であろう。そして、トランプ大統領は安全保障問題に興味がない

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