なぜ、カルディはコーヒーを配るのか?財布の紐を緩ませる魔法

 

カルディの「新たな挑戦」

このようにユニークな商品を連発しているカルディであるが、キャメル珈琲は新たな挑戦として、ぶどうの栽培からワインの醸造販売までを一貫して行う事業を目指し、2014年4月に北海道余市町にて、農業法人「株式会社キャメルファーム」を設立した。余市はニッカウヰスキー創業の地として知られるが、フランスのシャンパーニュ地方とほぼ同じ緯度、日照時間でワイン用のぶどうの栽培地にも適している。11年には国から「北のフルーツ王国よいちワイン特区」に認定されている。

北海道余市町、キャメルファームのワイナリー(カルディHPより)

北海道余市町、キャメルファームのワイナリー(カルディHPより)

キャメルファームは、30年にわたりワイン用ぶどうの栽培を行い、高い評価を受けてきた藤本農園の技術を受け継いでスタート。17年9月にはワイナリーの竣工式を行い、国際エノログ(ワイン醸造技術者)連盟のリカルド・コタレッラ会長に全面協力を仰いで醸造を開始した。

同社ホームページには現在、750mlのロゼ「レジェント・ロゼ」2,600本と、白スパークリング「ケルナー スパークリング」7,000本が商品リストに掲載されているが、今後充実していくだろう。チーズやハムの製造との連携も含めて、どのように展開していくのか。とても楽しみだ。

このように順調に発展しているカルディではあるが、死角はないのだろうか。

キャメル珈琲は尾田社長の思いが強く反映された会社で、今の水準を保って商品などの企画のジャッジができる後継者が果たしているのだろうかという不安がある。

カルディは成長力ある競合も少ない業態だが、無限に出し続けるわけにもいかない。同社では2000年以降、飲食店にチャレンジしており、カフェ、ワインバーなど国内12店を展開しているが、もう1つブレイクしきれていない。飲食店でなくてもいいが、もう1本太い柱となる事業を育てるか、海外出店にも注力するか。新たな成長モデルが提示できればベストなのではないだろうか。

image by: カルディコーヒーファーム - Home | Facebook

長浜淳之介

プロフィール:長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

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兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。

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