「お前はクビだ!」と突然言われたら?弁護士に対処法を聞いた

 

それでは、客観的に合理的な理由がある場合とはどのような場合を指すのでしょうか?これは、大きく次のように分けられます。

  1. 労働者の私傷病や非違行為など労働者の責めに帰すべき事由による場合
  2. 労働者に規律違反の行為がある場合
  3. 経営上の必要性に基づく場合
  4. ユニオン・ショップ協定に基づく組合の解雇要求があった場合

以上4つです。なお、会社が就業規則を作成する(作成しなければならない)場合、解雇に関する事項は必ず記載しなければならないとされています(労働基準法89条3号)。

ところで、整理解雇とは、企業が経営上必要とされる人員削減のために行う解雇のことを指しますので、整理解雇は、上記のうち 3.に該当することになり、普通解雇の一つということになります。

もっとも、整理解雇は、会社が経営上の理由だけで解雇とするもので、従業員の非によって解雇するわけではありませんので、判例においても、この整理解雇が権利の濫用にあたるかどうかについては、厳しく判断すべきこととされています。具体的には、次の4つの要素を検討して判断されます。

  1. 人員削減の必要性
  2. 人員削減の手段として整理解雇を選択することの必要性
  3. 解雇される従業員の選定の妥当性
  4. 手続の妥当性(組合、従業員に対して説明、狭義を誠実に行ってきたか)

これに対して懲戒解雇は、従業員が服務規律に違反したり、会社の秩序を乱すような行為を行った場合に、その従業員に対する制裁の手段として、解雇という方法を選択することを指します。

この場合は、従業員側に懲戒処分とされるような問題の行為があることになりますが、それでも解雇という究極の処分が下される以上、解雇とすることについて強い必要性相当性が必要ということになります。

なお、懲戒処分の制度を会社で定める場合は、就業規則を作成する場合、就業規則に懲戒事由を定めなければならず(労働基準法89条9号)、かつ、その就業規則を従業員に周知させておかなければいけません。また、この懲戒事由に該当した場合でなければ懲戒処分を下すことはできないので注意が必要です。

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