TVのワイドショーが築地や相撲問題ばかり取り上げた残念な理由

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テレビの情報ワイドショーには、どの局も同じ話題を連日延々垂れ流すような時期があります。近年では、築地移転問題であり、大相撲の暴力問題からの元貴乃花親方の対応問題です。なぜこうしたことが起こってしまうのか、「からくりTV」「金スマ」などを企画制作したTVプロデューサーの角田陽一郎さんが、『角田陽一郎のメルマガDIVERSE』で、テレビ側の事情を明かします。

テレビの罪と罰―【成功の神はネガティブな狩人に降臨する―バラエティ的企画術】

テレビを見ていると素晴らしい番組も多いですが、それ以上に報道の杜撰さ、通り一遍さを感じることも多いと思います。近年ではいわゆるワイドショー、情報バラエティの取り上げるトピックの偏りが問題に挙げられます。

よくマスコミの情報操作だとか、黒幕の影だとか、いろんな陰謀説的なものから、主義思想的な扇動とかまで、いろいろ邪推されるのがマスコミですが、でもその報道の在り方の真偽は、テレビ局の内部にいると実はそんな大仰な理由でないことがわかります。

その杜撰さの原因の大部分は、マスコミの内部に思想的な深い真意があるわけではないのです。では何か?それは、スタッフがあまりに多忙で日々の仕事に忙殺されている、究極的には面倒くささが、その雑な仕事にも現れているだけなんだと思います。

そんな理由で?そう思われることも当然です。しかし、実際の現場ではその側面がかなりの番組内容に影響しています。2017年、18年と一時期、築地市場の移転問題と、大相撲問題ばかりがテレビの情報ワイドショーでは取り上げられていました。それはなぜだと思いますか? そのネタを取り上げると、視聴率が取れるから。当然その理由は大きいです。でも数字が取れる案件はもっとあるはずです。なぜ築地と相撲が突出していたのか?

それは、そこに明確な報道姿勢やジャーナリズム精神があるというわけではなく、実は、築地と両国国技館の距離が都心のテレビ局に近かったから、それだと移動費もかからず、取材がすぐ行えるからというたったそれだけの事だったりもするのです。 そんな理由で…なんかむなしくなります。

しかし、これがある意味、今のマスコミの真実だったりもするのです。放送局と言っても、いち民間企業です。その効率重視が、内容の歪みまで生んでいる一つの表れです。

では一方で、2016年にドラマ『逃げるが恥だが役に立つ』通称“逃げ恥”はなぜ大ヒットしたのでしょうか?星野源がカッコよかったから?脚本家が優秀だったから?現代を風刺しているから?通称「逃げ恥ダンス」がネットで話題になったから?

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