巨大利権か。被ばくリスクのX線胃がん検診を受けさせたい人々

 

がん検診事業を進める国内最大の民間組織は「日本対がん協会」である。東京を除く46道府県に提携団体(支部)があり「日本対がん協会グループ」を形成している。

1960年に同グループの宮城県対がん協会が東北地方に胃X線の健診車を巡らせ住民検診を始めたのが日本で最初の集団検診だ。現在では、子宮、肺、乳房、大腸の集団検診も行われている。

グループ全体で約1,000台の検診車を持ち、申し込みを受けて地域や職域を巡回する集団検診には、市区町村から補助金が出る。国から自治体に配られる地方交付税のうち約180億円がその原資だ。

日本対がん協会は1958年に朝日新聞の80周年記念事業として設立されたため、現在でも事務局は朝日新聞からの出向者が中心だが、役員の顔ぶれをみると、国立がん研究センターの強い影響下にあることがわかる。

会長は元国立がん研究センター総長、垣添忠生氏、常務理事の一人は中釜斉・国立がん研究センター理事長である。元総長と現理事長が運営にたずさわっているのだ。

国立がん研究センターはもともと厚生労働省直営の機関で、2010年4月1日に独立行政法人へ移行し、国立がんセンターから国立がん研究センターに改称された。

国立がん研究センターと密接に結びついた日本対がん協会を「検診ムラ」の総本山と呼ぶのはジャーナリストの岩澤倫彦氏だ。

薬害C型肝炎に関する調査報道で「新聞協会賞」などを受賞した岩澤氏は著書『バリウム検査は危ない』のなかで、ピロリ菌感染の有無などを調べるリスク検診を重視する立場から、次のように「検診ムラの利権構造を暴いている。

胃がんリスク検診が導入されると…国が定める5つのがん検診のなかで最も大きな収益をあげるバリウム検査を失う…ここ最近で買い替えが進んでいる1台5,000万~9,000万円という高額なデジタル式X線検診車が無用の長物と化して、大量の診療放射線技師が職を失うことになる。つまり、バリウム検査は、全国に存在する検診組織、天下り役人、バリウム製剤、X線フィルム、X線装置メーカー、診療放射線技師、さらには科学的根拠というお墨付きを与える研究者まで、実に幅広い利害関係者を抱えているのである。

「バリウム検査」が「リスク検診」にとって代わられるのを避けるため、日本対がん協会と天下りを通じて密接な関係にある国立がん研究センターは「胃がん検診ガイドライン」で、リスク検診を推奨から外し排除しようとしたのではないのだろうか。

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