しかし、喜多川氏は、ある生徒の例を出して、その生徒は、喜多川先生のお話を笑顔でうなずきながら聞いていました。「よく聞いているなぁ」と思って、次の日に、昨日の話しをその生徒に聞いてみると、きょとんとしていたそうです。
子どもたちに限らず、大人でも、相手の言葉に対して「ハイ、ハイ」などと言って、その場だけ取りつくろって、切り抜けようとした経験があるのではないでしょうか。
ここで、喜多川氏は、父親が言った「世界をまたにかけろ!」という言葉を講演でお話しできているので、言われたその時は無反応でも、その言葉は自分の中に残っているとお話ししていました。
そして、忘れないことは、「親が言ってくれたこと、言葉」であり、忘れてしまったことは、「その時、自分が素直だったかどうか」と語っていました。
たしかに、私たちは、子どもの頃に投げかけられた印象的な言葉だったり、体験や経験であったり、そういったものは、頭の片隅に残っていて、忘れていないものかもしれないですね。
喜多川氏は、子どもたちは、言葉をそしゃくし、理解するまでに時間がかかるが、子どもたちにとって、親や先生などの心、想いの言葉は種になっている。そして、その種からすぐに芽は出ないけれど、多くの種をまいていくことが大切なので、自分の想いをあきらめずに伝えるべきで、伝え続けることが大事だと、お話しされていました。
このテーマのお話を聴いていて、「このテーマは、子どもたちと大人の関係だけではないな」「職場の中でもこういったことはあるな」と感じました。
例えば、経営者が自社の理念を社内に浸透させようと訴えたとします。でも、社内になかなか浸透してしかなかったとしたら、子どもたちが無反応だった時の親や先生などの対応と同じように、理念を伝えることをあきらめてしまうことも考えられます。
また、リーダーがメンバーに対して何らかのことを伝えても、メンバーが無反応だったら、きっと「言っても無駄」などと思って、伝えることをやめてしまうこともあるでしょうね。
社会人になると、相手の反応はなかったりすると、「もういいや」とあきらめてしまいがちで、なかなか難しいことではありますが、自分の想いなどを伝え続けることによって、種をまき続けることが大切だと、あらためて感じました。
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