来年の開催中止が急きょ発表された首相主催の「桜を見る会」を巡り、その不透明な招待客の選定基準などが野党の追求の的となっていますが、さらに物議を醸しそうな「疑惑」が明らかになりました。有名ブログ「きっこのブログ」の著者にして、メルマガ『きっこのメルマガ』で毎週社会問題を独自の視線で斬り続ける「きっこ」さんは今回、「桜を見る会」でもっとも多額な予算が計上されている飲食関連を一手に請け負う会社の取締役と、安倍首相とのただならぬ関係を白日の下に晒しています。
桜を見る会の裏側を見る会
11月8日の参院予算委員会で、日本共産党の田村智子議員が、安倍晋三首相が主催する「桜を見る会」についての質疑をしました。毎年4月に新宿御苑で開催される「桜を見る会」は、2012年末に第2次安倍内閣が発足してからというもの、招待者数が毎年増え続け、予算は当初の3倍の5,000万円を超えるようになっていました。人数と予算が増え続けていることは今年の5月から指摘されていましたが、増加した招待客の多くが、安倍首相を始めとした自民党議員の地元の後援会員や、公明党の議員の地元の後援会員であることが分かったのです。
自民党と公明党の議員が地元の後援会の会員らを招待し、お酒や料理を振舞い、お土産まで持たせて帰していたのですから、これを政治家個人がやったとしたら完全に公職選挙法違反になります。しかし、安倍首相は、これを国民の税金で白昼堂々とやっていたのです。ちなみに、今年の春の「桜を見る会」では、安倍首相の地元の山口県下関市の「安倍晋三後援会」の会員らが前日に飛行機で東京入りし、ホテル・ニューオータニの大広間を貸し切って「安倍晋三 桜を見る会 懇親会」という前夜祭を行ない、安倍夫妻が支援者らをおもてなししました。その人数、なんと850人です。
そして翌朝、ホテル・ニューオータニから大型観光バス17台を連ねて新宿御苑へ向かい、新宿御苑が開門する1時間前に「首相案件」ということで特別に開門させ、他の招待客が入苑できない間に、安倍首相の支援者らが個々に桜の下で安倍夫妻との記念写真を撮ったのです。その後、他の招待客が続々と到着し、新宿御苑では1万8,000人を超える大宴会が始まりました。樽酒を始めとした、本来は苑内に持ち込み不可のアルコール類がすべて無料で振舞われ、オードブルや高級スイーツなども並び、帰りには記念の升などがお土産に配られました。実際に参加した後援会員のブログには「去年は土産を10個持ち帰ったが、今年は3個しか貰えなかった」などと書かれています。
ま、この辺のことは、田村智子議員の質疑や各報道などでも明らかにされていますので、ここでは詳細には触れませんが、この問題、実は「安倍首相による税金の私物化」ということだけでは済まないのです。田村智子議員も質疑の中で「5,000万円を超える予算のうち、もっとも多額なのが飲食費用です」と指摘していましたが、その飲食関係をすべて一手に請け負っているのが「株式会社ジェーシー・コムサ」という会社なのです。
この「ジェーシー・コムサ」の取締役は「アーネスト・M・比嘉」という日系アメリカ人の男性で、その姉が会長をつとめています。この「アーネスト・M・比嘉」という人物は、安倍昭恵夫人のフェイスブックに何度も登場しています。いろいろな高級レストランの個室で、安倍夫妻と楽しそうに食事をしている画像を複数見ることができます。そして、安倍首相自身も「古くからの友人」だと公言したことのある人物なのです。安倍首相は加計孝太郎のことを「腹心の友」と公言しましたが、この「アーネスト・M・比嘉」という人物も加計孝太郎と同様に安倍首相自身が認める友人なのです。