日本終焉レベルの大問題。iPS細胞10億円支援打ち切りという愚行

 

そもそも「生産性」という、研究と全く相容れないものを、大学という学問の場に持ち込んだのが衰退の始まりです。大学に競争原理を持ち込み、「選択と集中」だのとカネを稼ぐことに躍起になったことが、「日本の土台を崩壊させたのです。

おそらく「生産性命」の方たちは、勉強と学問の違いがわかっていないのだと思います。

勉強とは誰かが作った野菜を集め、売れるように盛り付け、世に出すこと。一方の学問は、どこの土地に、どんなタネをまくか?を考えることから始まります。どんな肥料を使えばいいのか?嵐が来た時にはどうすればいいのか?と様々な可能性を考え、試行錯誤し、失敗を繰り返しながらも、オリジナルの野菜を育て上げます。

そして、野菜が収穫できるようになったら、今度はその持ち味を最大限に活かせるサラダはどういうものかを考え、オリジナルの器にいれ、きれいに盛り付ける。

こういったすべてのプロセスをきちんと丁寧に繰り返し行うことで、世の中に役立つものを創りだしていく。これが学問です。

当然ながら時間もコストもかかります。途中でめげそうになることだってあります。それでも自分を信じ、どこから突かれても崩れないだけの知見とスキルを磨き続ける。学問に終わりはないし研究にも終わりはないのです。

それを成し遂げるには国の支援は必要不可欠です。お金がなければ大学の研究は成り立たないし、研究者も育たない。

にもかかわらず、大学の研究費を減らし続け、やっと芽が出てこれからだ!と熟成させているところで、「企業のニーズに合わない」と突き放しているのですから全くもって理解できません。

政府には地盤沈下に拍車をかける愚行を早急に是正してほしいです。心から願います。

みなさんのご意見もお聞かせください。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2019年11月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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