韓国の八方塞がり。GSOMIAの次の難題「徴用工問題」の落とし所

tsuda20191125
 

GSOMIA失効期限前日の11月22日、まさに土壇場でその破棄の停止を発表した韓国ですが、文在寅政権の「試練」は続くようです。これまでも「韓国に譲歩はNG。尊厳と国益を大きく損なうニッポンの甘い対応」等で、親北としか思えぬ動きを見せる文政権が韓国国民にもたらす「災厄」を指摘してきた津田慶治さんは、自身のメルマガ『国際戦略コラム有料版』で、仮にGSOMIAが継続になったとしても、韓国政府が徴用工問題の対応を誤った場合、韓国は北朝鮮の支配を受けることになると記しています。

香港問題と台湾問題

韓国のGSOMIA破棄回避で、韓国の悲惨な運命は一時的に回避したが、香港問題と台湾問題が今後出てくる。それを検討しよう。

香港人権法と米国株価

NYダウは、11月15日に史上最高値28,004ドルとなったが、11月22日27,875ドルと下落している。PERは17倍台でまだ、割高な水準である。そして、米中通商交渉が11月中に合意できるとしていたが、来年にずれ込む見通しとなり下落したが、米議会上下院で香港人権法が成立しても相場は楽観的な見方が出て11月22日には100ドル以上上昇している。

この香港人権法が米上下院で可決されて、大統領の署名を待つ段階になっている。中国は香港人権法が成立したら、米国に報復的処置を行うので、トランプ大統領は、署名をするかどうか明らかにしていない。しかし、署名をしないと連邦議会の開会中の場合、10日でその法案は、自然成立して法律となる

そして、トランプ大統領が拒否権を発動すると、再度議会で全会一致で再決議される。その上に、共和党での弾劾賛成議員が増えてしまうことになり、弾劾裁判が成立する危険もある。支持者のうち、中国強硬派は支持を止める危険もある。

トランプ大統領が、何をしようと法律は成立してしまう。このため、どちらにしても、今後、中国の米国への報復処置が出てくることになる。

しかし、ペンス副大統領が、弾劾後大統領になると、今より中国に対して強く出ることが予想できるので、中国はトランプ大統領の方が、交渉しやすい。

このため、中国の習近平国家主席は、珍しく「米国が誤った判断をしないよう、戦略的な問題で対話を強化すべきだ」と述べたと新華社は伝えている。また、米国との通商交渉合意について、「貿易戦争を恐れないが、合意に向けて努力したい」と述べ、安易な妥協はしないものの「互いの尊重と平等という基礎のもとに第1段階の合意に向けて努力したい」とした。

しかし、トランプ大統領は、「私は習近平国家主席に、平等な条件での取引はあり得ないと告げた」というので、難しい局面にあることだけは確かである。

それでも、トランプ大統領の元で、中国も香港人権法の成立を阻止したい意向のようである。香港理工大学への警察機動隊の突入は、習近平主席の指示であり、警察隊が阻止されたら、中国人民解放軍のテロ対策特殊部隊を投入する予定であったという。

これに対して、香港司法は「覆面禁止法」を基本法違反であると断定したことで、三権分立の基本法を止めて、香港の「1国2制度を廃止して中国に取り込むようである。

この時には米国の香港人権法が強力な対抗処置になる。しかし、既に四中全会で決定したとも推測できる。ということで、米中通商交渉の合意は、人権・民主化問題などで難しくなってきたように感じる。トランプ大統領は、人権も民主化も意に介さないが、米国全体では、いきり立つことになる。

12月15日に、1,500億ドル分への対中関税UPがあり、電子製品などに課税されることになる。アップルは、大統領にアップル製品への課税を免除するように誓願している。もし、課税されるとアップル株暴落の危険があり、市場全体での楽観論も破壊されるので、株価が全体的にも暴落する危険がある。

ということで、アップル製品への課税は見送りになる方向のようである。というより、12月15日分の課税は、交渉が進展しているという理由で延期する可能性が高い。

というように、株価暴落の危険性が徐々に拡大してきている。中央銀行バブル維持は、徐々に脆弱化してきて、維持コストが上がり始めている。

トランプ大統領は、米中通商交渉合意ができないときのために、株価維持で、FRBに対して、量的緩和のステルスQE4(POMO)を2月末まで行わせ、3回の利下げを行わせ、その上に、パウエルFRB議長にマイナス金利を要求している。景気後退時のFRBの政策手段を奪っている。その上に、来年は、景気維持のために中間層への大型減税をすると述べている。来年は、米国の赤字が120兆円にもなる可能性が高い。MMT理論で合理化するようであるが、あまりにも強引である。

一方、中国市場で、米企業の自動車も売れなくなり、トヨタが自動車販売台数で8%UPで2位になり、GMは15%減と落ちている。徐々に、米中間での経済分離が進んでいる。米国製造業の景気後退は、明らかになっているが、非製造業の景気は良いが、徐々に不景気の兆候も見え始めている。

中国の強権的な香港への処置を見て、欧州、日本、米国、アジアは再度、対中政策で共同歩調を取るのが重要なことになるが、この視点と違う考え方をトランプ大統領がするので、皆が共同歩調を取れない。特にアジアでは、中国の影響が強いために、米国との同盟関係を危険視している。それは米国と同盟関係にあったクルド人勢力を裏切る米トランプ大統領が信用できないからである。

そのため、強権的な中露の時代は、続くことになる。早く、トランプ大統領を止めさせないと、中国への対抗処置が取れない絶望感も増している。中国の強権的な外交が強くなると、日本にも大きな恐怖が押し寄せることになるし、東アジア情勢は緊張した状態になる。

print
いま読まれてます

  • 韓国の八方塞がり。GSOMIAの次の難題「徴用工問題」の落とし所
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け