日常こそが本当の真剣勝負の場。道場で父から受けた剣の道の教え

 

剣道で最も難しい試験は八段といわれています。1,000人受けて7人くらいしか通らない難関であり、結果の思わしくなかった人からはしばしば「相手が悪かった」といった愚痴を耳にすることがあります。

しかし本当は、その相手をひっくるめて自分なのです。相手と自分を切り離して考えるのではなく、相手と和合し、ともに向上する気持ちで向き合うことが大切です。

かくいう私も、八段の審査に通るまでには7年の歳月を費やし、14回目の挑戦でようやく本懐を遂げることができました。

その頃は既に父は亡く、教えを請える人がいなかったこともあり、途中幾度となく、自分の弱さや迷いの心が表に出てきて、小手先の要領に走りそうになることがありました。しかし私はその度に父の説いた「大成への大道」を思い起こし、これを貫いてゆこう、父に学んだ剣道をただひたすらに歩んで行こうと心新たに鍛錬を重ねました。

審査の通過にこだわる心は次第になくなり、1年間の自分の修行結果を正々堂々ここで表そうという境地に至った時、八段を取得することができたのでした。

大きな木の塊を、剣道という鑿でコツコツと彫り上げてゆく。倦まず弛まず彫り上げてゆき、立派な観音像に仕上げていくのが剣道といえます。

父の勧めでつけ始めた稽古帳には、昨年までに道場で稽古をお願いした人の名が延べ5万2,059人記され、素振りの回数も168万8,800回に至りました。修行に終わりはありません。これからも稽古を通じてさらに人間を磨き、道場での学びを少しでも市井で役立ててまいりたいと念じております。

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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