米国「不揃い」野菜の宅配サービスブームはコロナ後も継続するか

 

1年前ですらこのような状況なので、ミスフィッツよりも先に創業したインパーフェクト・フーズはメッセージの伝え方が徹底している。まず、届いた箱の外側の目立つダンボール箱の上部には以下のように書かれていた。

「40% of the food in the U.S. goes uneaten」(米国の食品の40%は食べられずに廃棄)、「$218 billion in food is thrown away every year」(毎年2,180億ドル(約23億円)分の食品が捨てられています)、「This box is made with 100% recycled materials.」(この箱は100%リサイクル素材で作られています)…などのメッセージ。

このジャンルの先駆者だけある。しかも、ダンボール箱の側面には、「Groceries on a mission」(使命を受けた食料品)そして、「Whoever said that one person couldn’t make a difference in the fight against food waste obviously never met you」(食品廃棄物との戦いに、たった一人じゃ変化をもたらせるわけがないと言うのは、明らかに、あなたに会ったことがない人だ)…という力強いメッセージも。

ミスフィッツ・マーケットよりも硬派な社会派、本格派な印象だ。実際に箱を開けてみると、ミスフィッツとの最大の違いはまず梱包が違う。ミスフィッツはフェデックスという輸送会社の翌日配送を利用。輸送時間が長いこともあり、衝撃吸収材や保冷剤などを入れている。より鮮度が高いし、衝撃に弱い葉物野菜(例、パクチー)なども良好な状態で配送されてきた。

一方で、インパーフェクト・フーズは配送センターから直接その日に車で配送される仕組みなので梱包はそれほどしっかりしていない。ダンボール箱にはただ雑多に野菜や果物が入れられてるだけ。しかも、野菜や果物のセレクションも、非常に硬派で派手さがない、見慣れた野菜や果物しか入っていない。

ミスフィッツはどうやって食べたらいいのか謎の野菜が入っていることもあるので、好奇心をかきたてられるのだけど(つまり料理へのわくわく感も出てくる)、インパーフェクト・フーズはあまりにも普通すぎて、正直つまらない印象だった。

先にインパーフェクト・フーズを取り寄せていたらこうは思わなかったかもしれないが、自分ではまず買わないミステリアスな野菜が毎回、何かしら入っていると『宝箱』感覚を楽しめるし、ミスフィッツ・マーケットは『宝箱』感覚を消費者心理として理解しているのかもしれない。もしかしたら、インパーフェクト・フーズよりも後からできたミスフィッツが、先駆者との差別化のために生み出した工夫、演出なのかも?

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