なぜ子供に不人気?「面白くて豪快に儲かる」エンジニアという職業の話

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我々が生きる情報化社会に欠かすことができない、ソフトウェア・エンジニア。しかしながらその職については正しく理解されているかと言えば疑問符が付き、子供たちの人気も決して高いものではなく、日米ともにスポーツ選手やYouTuberの後塵を拝しているのが実情です。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、「Windows 95を設計した日本人」として知られる世界的エンジニアの中島聡さんが、ソフトウェア・エンジニアがどれだけ恵まれた職であるかを、米国の大学でトップクラスの成績を残したテニス・プレーヤーとの比較を交えつつ紹介しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

ソフトウェア・エンジニアという職

先日、「シリコンバレーで働いてわかった『日本人がお金持ちになれない』納得の理由」という記事を目にしました。魅力的なタイトルの割に、あまり中身はないのですが、要約すると、

  • シリコンバレーでソフトウェア・エンジニアとして働けば年収1億円も無理じゃない
  • 日本企業はコア製品を外注するからダメ

となります。どちらもそれなりに正しいことを言っていると思いますが、「日本人がお金持ちになれない」理由にはなっていないと思います。

まず最初の点に関して言えば、「ソフトウェア業界が非常に恵まれている」ことに尽きると思います。90年代から始まった、情報革命は今でも続いており、今や、あらゆる業界がインターネットやソフトウェアを活用する時代になっています。

結果として、優秀なソフトウェア・エンジニアは引く手数多で、中堅どころのエンジニアが、基本給で年収15万~20万ドル(1,500万円~2,000万円超)を稼げます。それに加えて、この業界にはストック・オプションという素晴らしボーナス・システムがあり、会社での成績と会社の株価次第では、数千万円から数億円のボーナス収入を手に入れる可能性すらあります。つまり若くして、ミリオネラ(100万ドル以上の資産を持つ人、日本語で言えば「億り人」)になることが十分に可能なのです。

少し前に、米国の大学でトップクラスのテニス・プレーヤーと話す機会がありましたが(ジュニアの世界大会で2度ほど優勝経験がある人です)、プロになってランキングのトップ100に入ったとしても食べていくのはやっとなので、自分は大学を卒業したらプロにはならずに普通の会社に就職すると言っていたのが印象に残りました。

ソフトウェア・エンジニアで大学時代にそのレベルで活躍していたら、どこにでも高給で雇ってもらえ、すぐに上に書いたような「エリート・エンジニア」の仲間入りをすることが出来ます。つまり、テニス・プレーヤーと比べたらはるかに敷居は低いのです。

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