「社員に頑張ってほしいから給料を上げる」社長が裏切られるワケ

 

多くの会社・店では、

「何やっているんだ。こんなことだから売上が上がらないんだ」

と常に会社・店に視点が向いていることが多いのですが、この会社では「それで君はいいのか?」と視点が個人個人に向いているのです。

スタッフも上司は「自分のことを考えてくれている」、つまり、自己の存在を認めてくれているという意識が働き、それが個人のモチベーション向上にも繋がってもいるようでした。「個それぞれが頑張り、その集合体として店、会社が存在する」というような考え方で、「皆が共に自分の人生を楽しむために頑張ろう」というような風土が根付いているようでした。

そのため、この会社では、個を高めるために、数多くの勉強会が存在し、個の能力を高めるための環境が数多く整えられていました。ほとんどのスタッフが毎週2~3回の勉強会に参加することもあり、普段の営業(仕込みも含め)もありと、他の会社の人よりも結構ハードな毎日を過ごしているようです。

しかし、みんなモチベーション高く働いているのがすごく印象的でした。もちろん、こんなハードな毎日についていけない人もいて、入社後すぐに辞めてしまうスタッフもいるようですが…。

多くの会社では、「スタッフに頑張ってもらいたい」「自分の会社のスタッフには少しでもいい思いをしてもらいたい」と願う経営者の方はほとんどです。しかし、「頑張ってもらう」「いい思いをしてもらう」ために、その手段として「お金」を使うところが多いのですが、あまりいい結果を残しているところは少ないと感じます。お金が「働く目的」になっていると、どうしてもモチベーションを高いところで保つのが難しいのでしょう。

働く目的を「個人個人の生き方」にフォーカスすると、「自分の能力を上げるために頑張ろう」、とどんな状況になってもモチベーションが維持しやすいのではないかと思います。視点を個人に向けると個人プレーに走るのではという懸念を持つ方もいらっしゃるかもしれませんが、この会社を見ていた限りそれは杞憂な悩みだと思いました。

給与制度、評価制度で悩んでいる方は、もしかすると、この先もずっと悩むことになるかもしれません。

今回紹介した会社のように、「個」あるいは「個の生き方」にフォーカスし、自分の能力をどう高めるかということを目的とした集団になると、給与を上げないとモチベーションが上がらない、働く意欲が高まらないという悩みは消えていくのではないでしょうか?

image by: Shutterstock.com

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