日本はアメリカの植民地?安倍政権はどこまで「米国の忠犬」だったか

nkjm20200908
 

世界屈指のシンクタンクとして知られ、日本を操る「ジャパン・ハンドラー」と呼ばれる米国戦略国際問題研究所(CSIS)。当然ながら総理在職歴代最長となった安倍首相も、彼ら意向を汲んだ政権運営を強いられてきました。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では米国在住で世界的エンジニアの中島聡さんが、安倍政権がどれだけCSISからの要望に応えてきたか、「CSISの立場」から9つの項目について評価しています。

プロフィール中島聡なかじま・さとし
ブロガー/起業家/ソフトウェア・エンジニア、工学修士(早稲田大学)/MBA(ワシントン大学)。NTT通信研究所/マイクロソフト日本法人/マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。現在は neu.Pen LLCでiPhone/iPadアプリの開発。

「第三次アーミテージ・ナイ報告」の米国からの要望に安倍政権はどう対応したか

安倍総理が引退を表明し、長期政権がようやく終わりを告げました。森本学園事件に代表される政府の私物化の問題や、アベノミクスの評価に関しては、多くのメディアが既に取り上げているので、私は、「ジャパン・ハンドラー」と呼ばれるCSISが2012年に「第三次アーミテージ・ナイ報告」に記されている米国からの要望に安倍政権がどう対応したか、という観点から、CSIS視点での評価(私の評価ではありません)をしてみたいと思います。

(1)原子力発電の慎重な再開が日本にとって正しくかつ責任ある第一歩である。原発の再稼動は、温室効果ガスを2020年までに25%削減するという日本の国際公約5を実現する唯一の策であり、円高傾向の最中での燃料費高騰によって、エネルギーに依存している企業の国外流出を防ぐ懸命な方策でもある。福島の教訓をもとに、東京は安全な原子炉の設計や健全な規制を促進する上でリーダー的役割を果たすべきである。

これに関しては、原子力発電の再開は始めたものの、2020年までに温室効果ガスを25%削除するという公約に関しては、完璧に忘れ去られてしまった感があります。しかし、この点に関しては、オバマ政権からトランプ政権に変わって、米国の方針が180度変わったので、結果オーライです。 評価:B

(2)日本は、海賊対処、ペルシャ湾の船舶交通の保護、シーレーンの保護、さらにイランの核開発プログラムのような地域の平和への脅威に対する多国間での努力に、積極的かつ継続的に関与すべきである。

この点に関しては、常に米国に従って来たように見えます。 評価:A

(3)環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉参加に加え、経済・エネルギー・安全保障包括的協定(CEESA)など、より野心的かつ包括的な(枠組み)交渉への参加も考慮すべきである。

これもトランプ政権による方向転換で、米国がTPPから脱退してしまったので、日本は梯子を外された格好になりました。しかし、結局は日米間のFTAを結び、畜産業が大幅に自由化されることになりました。 評価:A

(4)日本は、韓国との関係を複雑にしている「歴史問題」を直視すべきである。日本は長期的戦略見通しに基づき、韓国との繋がりについて考察し、不当な政治声明を出さないようにするべきである。また、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)や物品役務相互提供協定(ACSA)の締結に向けた協議を継続し、日米韓3か国の軍事的関与を継続すべきである。

この問題に関しては、双方に問題があるとは言え、関係はかなり悪化してしまいました。 評価:C

(5)日本は、インド、オーストラリア、フィリピンや台湾等の民主主義のパートナーとともに、地域フォーラムへの関与を継続すべきである。

要望自体が曖昧なので、評価は見送ります。

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