なぜ客は、同じ一泊朝食つきでも「片泊まり」を謳う宿を選ぶのか

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同じ商品やサービスでも、コピーやネーミングによりその印象は大きく変わり、売り上げも左右されるものです。今回の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では著者で繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさんが、お客様に伝わる「こだわり」の表現方法や「一泊朝食つき」の小粋な言い回し等の具体例を上げながら、言葉を扱う際には決して手を抜くことがあってはならないと力説しています。

驚きの集客&売り上げを実現する、言葉の魔術

「シェフのこだわりをご賞味ください」
「職人のこだわりが息づいています」

よく見かける表現ですが、お客さまにはまったく伝わりません。“美味しそうだ、食べてみたい”“ぜひ、手に入れたい”とは、思いませんよね。具体的なことが、イメージできない言葉だからです。

書籍やセミナーで、「こだわりを表現してください」と勉強すると、こうした表現をする方がおられます。もっと具体的に表現しなければ、人はイメージを膨らませることができないのです。

「煮物と魚にこだわりました」

これは、駅弁のパッケージに書かれているコピーです。中高年以上の方なら、買ってみたいと思う表現です。

普通の駅弁なら、牛肉、鶏肉、エビ、カニ、ウニなど、華やかな食材をアピールするところですが、「煮物」と「魚」という、地味とも思える食材へのこだわりを表現することで、「小さなところまで、こだわっている弁当」をイメージさせています。

また、中高年以上には、あっさりしたものを好む方が多いので、ずばり、欲求に合っているのです。

“こだわり”がしっかり伝われば、“すべて”をイメージしていただけます。

また、ネーミングにおいても、お客さまの感じ方によって、売り上げを大きく左右します。

  • ペンション「ファミーユ」B&B(ベッド&ブレックファスト)6,800円
  • 元湯・山中旅館(一泊朝食つき)7,800円
  • 片泊まりの宿・旅亭藤山 12,000円

あなたなら、どこに泊まりたいですか?

好みの問題でもありますが、余程強い意志が無い限り、「片泊まりの宿」を選ぶ方が多いはずです。

これは、まったくイメージだけの問題で、どの施設が満足するのかは、わかりません。しかし、「B&B」では欧米式の軽い朝食が出てきそうです。「一泊朝食つき」は、観光重視やビジネス利用をイメージしてしまい、朝食に期待ができません。

「片泊まりの宿」は、どうでしょう。

知らない方は、その言葉に興味を持ち、調べようとします。京都に多く、一泊朝食つきの風情ある旅館であることを知っている方は、多少高くても、ここを選びます。テレビや雑誌でも数多く紹介され、その朝食はヘタな旅館の夕食よりも豪華なものです。「片泊まりの宿」という、聞き慣れない言葉、小粋な言葉が、お客さまを惹きつけるのです。

すべての施設が、一泊朝食つきであることに変わりはありません。なのに、ネーミングだけの違いで、見聞きした人のイメージの膨らみ方まで、変わってくるのです。良いネーミングなら、多少高くても、お客さまはそちらを選ぶのです。

言葉ひとつで、お客さまの印象はまったく違ってきます。同じ商品・サービスであっても、言葉の魔術で売り上げは変わるのです。よって、手を抜くことなど、あってはならないのです。

image by: Shutterstock.com

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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