国が5年に1度行う国勢調査。日本で最も重要な統計調査だとされ、第1回が実施されたのは1920年。2020年で21回目となり、100周年を迎えるという。前回調査からオンラインで回答することが可能となり便利になった国勢調査だが、調査票を黒塗りで回答したとするツイートがネットで話題になっている。どうやらそこには政府の公文書改ざん問題が関係しているようだ。
なぜ多くの国民が国勢調査を無視?
9月14日からインターネットでの回答の受け付けが始まった国勢調査。郵送での回答もあわせ、回答期限は10月7日までとなっている。
オンラインで手軽にできるようになり、回答率もさぞ上がったと思いきや、9月29日時点の回答率はわずか23.9%。前回調査の同時期のインターネット回答率と比較して12.3ポイントも低下している。
これだけでも問題だと思うが、担当者を悩ませるような出来事が今年は起きていた。それは調査票を黒く塗りつぶして回答する人がいるということ。一体なぜそのようなことをするのだろうか?
調査票が黒塗りされてしまうワケ
ネットを賑わせているのは、「国民が国に求める情報を全て開示してからにしろ!!」と書かれた付箋を貼り、記入すべき欄が全て黒塗りされたもの。国が隠し事をするなら、自分も情報を明かさないという意思表示だと思われる。
完全に正しい。国勢調査の黒塗り解答。
私も日本にいたらやったと思う。 pic.twitter.com/g99SoOc9y6— Nori Ubukata (@ubieman) October 5, 2020
回答率の低下も、黒塗りされる調査票も、どうやら同じあることが理由として考えられる。それは“国の信用問題”だ。
森友学園への国有地売却をめぐる公文書の改ざん。2011年に施行された公文書管理法に「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るもの」と記されているにも関わらず、政権に有利なように書き直された。これは明らかに法律を無視したものだ。
また、厚生労働省による統計不正問題もあった。景気動向や経済政策の指標となる重要な統計が歪められ、当たり前のように長年繰り返されていたことが発覚。統計の調査結果をもとに支払われる雇用保険や労災保険は、この不正によって総額530億円余りが過少給付されていたことが明らかになっている。
当たり前に行われるべきものが、当たり前に行われていないという衝撃的な事実。これだけ政治不信が募れば、何も信用できなくなるのは当然だ。
今回の国勢調査の回答率の低下や、調査票が黒塗りされたことも、このような国の信用が失墜していることが原因である。「国が明らかにしない事実があるのだから、国民が同じようなことをしても問題ない」というのは、飛躍的すぎる意見ではあるものの、その気持ちはわからないでもない。