菅政権「給付金」打ち切りの非情。老舗企業を待ち受ける倒産地獄

 

菅政権が考える「大戦略」の中身とは?中国の脅威に備えよ

菅政権は個々の政策を述べるが、全体的な戦略を語らない。個々の政策を見ると、大体、戦略が透けて見えるようだ。菅首相は、大局を感じてはいるが、言語化ができていない。言語化・戦略化を有識者が行い、それを首相が自らの言葉で語る必要があると思う。

菅政権は、「バイデン政権」の政策や中国の産業育成策を見越して、再生エネルギー政策に転換した。デジタル化と再生エネルギー育成策、地銀や中小企業の再編などが中心になるようだ。しかし、個々の政策の裏には大きな戦略課題が見えている。

世界的なコロナ再拡大などで、今後コロナ不況が一層深刻化する可能性がある。世界でも一番コロナ被害がある米国民の分断が進み、そのため米国の衰退も見通せる状態になっている。しかし、この米国の衰退に日本は確実に巻き込まれることになる。

著名投資家のジェフリー・ガンドラック氏は、米国のバラマキで社会主義と同じような状態になり、2027年までには米国の経済的限界に達して、革命が起きるという。一方、2035年までに中国は、世界の覇権をとるべく、経済力・軍事力を増強するという。そうすると、近い将来に米中の力は逆転する可能性がある。

日本は中国近傍にあり、中国という全体主義国家の従属国になりやすい。そのため、日本が真の独立を維持するためには、歴史的にも経済力・軍事力を中国の侵略を許さないレベルまで上げる努力をしてきたし、今の日本は、いつまでも米国を頼ることはできないので、一層努力が必要になっている。その期限は2035年ということになる。

1990年以降、日本は米国との構造協議で研究開発力を大きく削がれた。そのため、国家主導の中国に研究開発力と技術力で抜かされた。しかし、日本の独立を維持するためには、米国との構造協議を棚上げして、国家主導で研究開発力・技術力を再構築していくことが必要になっている。

国家の威信をかけて、中国の侵略を防ぐために軍事力の増強や画期的な製品を作り、経済力を上げる必要があるのだ。デジタル化も再生エネルギーも電気自動車、新兵器も中国からの独立維持には絶対に必要なことだからである。

要するに、日本の大戦略は、米国の衰退を見越して日本が自立して独立を維持することであり、このためには、中国の経済力と軍事力に対峙できるほどの力をつけることである。

この一環として、日本自身が敵対国の外国資本による安全保障上重要な土地の買収に関し、制限を設ける方向で政府が法整備に向けた検討を開始している。

【関連】中国の合法「侵略」に日本政府が対抗、土地購入者の国籍届け出義務化へ

それとともに、軍事研究を禁止する「日本学術会議」の権威をはく奪し、日本の技術を他国に売る技術者や研究者を逮捕していく必要があるのだ。

一方、研究開発力を国家も援助して、再構築していく必要がある。それに、AIなどで労働生産性を上げて、国民の賃金を上げ、日銀の量的緩和政策を止めて、財政的な余裕を作り、国民の生活の質を上げて少子化を止める必要もある。そのためには、デジタル化や再生可能エネルギー、電気自動車、中小企業の再編などもある。

「黙示録の世界に現在は来ている」と、再三再四、このコラムでは述べてきたが、世界の人の多くが実感できる所まで来てしまったような気がする。

特に、米国の有名な市場関係者は、ポピュリズムに陥った米国の未来を危惧しているようだ。

日本も、この状況に対応した戦略を立てて、備える必要が出てきた。安穏とした平和な時代は、とうとう終わりになった。しかし、その状態を無視して、平和を主張する人たちが多すぎるし、それを主張する高齢で頑固な人が多い。

さあ、どうなりますか?

image by: 首相官邸

津田慶治この著者の記事一覧

国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。

有料メルマガ好評配信中

  メルマガを購読してみる  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 国際戦略コラム有料版 』

【著者】 津田慶治 【月額】 初月無料!月額660円(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4月曜日 発行予定

print
いま読まれてます

  • 菅政権「給付金」打ち切りの非情。老舗企業を待ち受ける倒産地獄
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け