食ってやがる…中国の物流現場のヤバい実態、独身の日セールに繰り返すか

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数字の「1」が並ぶことから、中国で「独身の日」とされている11月11日。この日はまた、ECショップが大セールを展開することでも知られ、そのお祭り状態が日本でも毎年報じられています。今回の無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』では中国在住の日本人著者が、「独身の日セール」の実態と、そんなセールで物流がパンクし、中々届かぬ荷物を配送業者の倉庫まで取りに出かけたかつての経験を記しています。

『華南の風』中国・深セン【5】ネットショッピングのお祭り

今年も11月11日が近づいてきました。元々11月11日は「光棍節」と言って「1」が並ぶ、つまり独り身の人達が自嘲気味に集まって騒ぐことが多く、対象の優待セールなどが飲食店やカラオケなどで受けられる日でした。それが最大のネットショップであるタオバオがこの日に大セールを始めたことで、ネットショッピングが毎年お祭り状態になります。ネットショッピングで二番手につける京東(ジンドン)も同調するのでこの日の総購買金額は毎年ものすごいことになります。

どれくらいすごいかというと2019年はこの日だけのタオバオの総売り上げが384億米ドル(4兆320億円)だったそうで、30分弱で100億ドルに達したとか。私は普段安いものはタオバオ、高いものはジンドンと使い分けています。タオバオは偽物や粗悪品が多い反面安く、ジンドンは正規品を保証しているところが多いからです。

クリスマスプレゼントなどもこのセールを利用して先に購入するので、商品の選択、購入者の商品に対するレビュー、店に対するレビューなどをチェックして一つ一つ絞っていくので毎年この時期は子供が寝た後で妻と相談する毎日です。11月11日に全ての注文をし終わると本当に疲れてしまいます。

そして当然のことながら全国の物流が毎年パンクします。各ネットショップは「乗らざるを得ない」から乗っているわけで、少しでも利益を出そうと安い宅急便業者を使います。そんな業者の配達現場は大混乱です。いつまで経っても注文したものが届かないので店に問い合わせると「もう出荷したから配達業者に聞いてくれ」となります。配達業者はいわゆる「蕎麦屋の出前」状態が何日も続きます。去年はとうとう頭に来て「もういい!倉庫に自分で取りに行く!」と車で近くの集荷所へ向かいました。すると…体育館のような倉庫におびただしい数の大小段ボール箱が放置プレイとなっていました。その倉庫には係が二人いるだけで、あとは配達に出ているとのこと。

「あなたの住所のものはあの辺にあるから探してみて」と言われ、宛名を見ながら段ボール箱をひっくり返す宝探し状態に。驚いたのは開けられてしまった荷物がたくさんあったこと。荷札を見て食べ物だとわかりその場で食べられてしまったらしく、係もあの広さでは気づかなかったのでしょう。幸い我が家宛ての荷物は無事でした。携帯で注文書を見せてラベルのQRコードをスキャンして「配達完了」(笑)。

毎年ワクワクする買い物祭りですが、またあれをやるかと思うとちょっとうんざりです。

著者/Mochi(「『華南の風』中国・深セン」連載)

image by: Freer / Shutterstock.com

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