総合的・俯瞰的判断?流行語大賞から消えた安倍政権に批判的な言葉リスト

 

でも、2014年5月に「内閣人事局」が設立され、当時の官房長官だった菅義偉が官僚の人事を支配するようになると、各省庁だけでなく、NHKなどの人事までもが政権寄りに変更されるようになった。そして「ユーキャン新語・流行語大賞」も、2015年には「翌年より候補を30語にする」ということが決められた。候補数を50語から30語に減らせば、おのずと政治関連の言葉の数も削らざるを得なくなる。

それでも、「30語」になった翌2016年は、「アスリートファースト」「都民ファースト」「レガシー」「盛り土」など、小池百合子都知事に関する言葉が多かったけど、30語のうち3分の1の11語が政治関連で、安倍政権に関しては「保育園落ちた日本死ね」や、安倍晋三が公約を撤回した時の呆れ果てた言い訳「新しい判断」など、やはり批判的なものが選ばれている。

翌2017年は、「共謀罪」「Jアラート」「人生100年時代」「働き方改革」「プレミアムフライデー」「忖度(そんたく)」「魔の2回生」などが並び、その「魔の2回生」の代表格の豊田真由子の「ちーがーうーだーろー!」も選出されている。小池百合子の「アウフヘーベン」も入れると30語のうち9語が政治関連なので、前年度と同じく約3分の1に当たり、やはり安倍政権に批判的なものが散見される。

こうした流れに明らかな変化が起こったのが、2年前の2018年だった。2014年にはノミネート50語のうち20語以上が政治関連で、その大半が安倍政権に批判的な言葉だった。ノミネートが30語になってからも全体の3分の1が政治関連で、安倍政権に批判的な言葉が複数あったのに、2018年には、突然、政治関連の言葉が「高プロ(高度プロフェッショナル制度)」「首相案件」「ご飯論法」の3語だけに激減されたのだ。それでも、この3語は、すべて安倍政権に批判的な意味で取り上げられていた。

それが、昨年2019年になると、政治関連は「キャッシュレス/ポイント還元」「軽減税率」「ポエム/セクシー発言」「ホワイト国」「れいわ新選組」の5語に増えた一方で、安倍政権に批判的なものが消滅してしまった。さっきも書いたけど「キャッシュレス/ポイント還元」や「軽減税率」を選ぶのなら、どうして「消費税増税」を選ばないのか?「ホワイト国」を選ぶのなら、どうして「元徴用工問題」や「GSOMIA(ジーソミア)」を選ばないのか?そして「対韓強硬政策」を選ばないのか?あたしには、同じカテゴリーの中で、意図的に「安倍政権に批判的にならない言葉」を選んでいるようにしか見えない。

そして、今年2020年の30語でも、安倍政権に批判的な言葉はゼロ。「アベノマスク」だけは選ばれたけど、安倍晋三は最後まで「市販のマスクの価格を下げるなど一定の効果があった」などと言い張っていたので、これは批判的な視点からの選出とは言い切れない。そして、あれほど国会を紛糾させた「桜を見る会」も、河井夫妻の「ダブル逮捕」も、黒田弘務の「定年延長」や「賭け麻雀」も、どこにもない。豊田真由子の「ちーがーうーだーろー!」は選ばれたのに、どうして杉田水脈の「女性はいくらでも嘘をつける」は選ばれないのか?

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