ビジネスの真理。なぜ優秀な人間ほど「無能なライバル」を恐れるか?

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競争相手が強く賢いほど、到達する高みはより高いものとなる。理屈はわからなくてもなんとなくイメージがつきます。その理屈を「ゲーム理論」として紹介してくれるのは、メルマガ『深沢真太郎の「稼ぐ力がつく! 数学的思考の授業」』著者の深沢真太郎さんです。競争相手の選択次第で、自分が選ぶべき答えが変わり、双方が最適解を選ぶことができれば大きく得をし、選べなければ損をする。だからこそ「賢い人と一緒に仕事をしなさい」と深沢さんは諭しています。

賢い人と一緒に仕事をしなさい

今回は「賢い人と一緒に仕事をしなさい」というテーマ。さっそくですが、これを語るためにほんの少しだけゲーム理論の話をしなければなりません。

ゲーム理論の「ゲーム」はみなさんがスマホなどでやっているゲームのことを指しません。数学の新しい分野として有名であり、ファンも多いテーマです。もししっかり学びたい方は学術書で学んでください。この授業ではそのエッセンスをほんの少しご紹介するに留めます。

以下を条件とします。

A社とB社が同じマーケットで競っている
既存のマーケットは60であり、A40、B20の比率
A社はこの既存事業をやめて新規事業に乗り出そうとしている
新規事業のマーケットは150と大きいものである
しかしB社も同じように既存事業をやめて新規事業に乗り出そうとしている可能性がある
新規のマーケットは150であり、もし両者とも始めればA100、B50の比率

つまり、整理するとこのようになります。

A社が新規事業・B社が新規事業 → (100、50)
A社が新規事業・B社が既存事業 → (150、60)
A社が既存事業・B社が新規事業 → (60、150)
A社が既存事業・B社が既存事業 → (40、20)

さて、どの選択をすることがA社とB社にとって最適か。

この「ゲーム」のポイントは、相手の選択によって最適解が変わることです。だからややこしい。でも、私たち人間がいる現実世界ではこのような場面がたくさんありますよね。ご興味ある方は考えてみて欲しいですが、いったん結論を急ぎます。このゲームの最適解は以下のとおりです。

A社は新規事業を選択し、B社は既存事業を選択する。
(A社、B社)=(150、60)

ではここからが本題。このゲーム理論のエッセンスは私たちに何を教えてくれているか。
> どんなややこしい問題にも必ず正解はあること?
いいえ、そうではありません。賢い相手と競争をしないと、合理的なリターンが得られないことです。

先ほどの例でお分かりかと思いますが、あの結論はA社はもちろんのこと、相手のB社も同じように賢く(合理的に)考えられることが前提です。そうでなければ間違った選択をしてしまい、結果的に両社が本来はもっと利得を得られたはずなのに、最適なリターンを得ることができなくなってしまうのです。

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