中国を「為替操作国」に認定せぬ米国の意図。監視リスト入りは継続

 

【サーチ&リサーチ】

《読売》のサイト内12件を見ていこう。

2016年11月10日付
前回の米大統領選で勝利を収めたトランプ氏がどのような経済政策を採用するのかが「不透明」だとする記事の中で、トランプ氏が選挙中、中国を「為替操作国」認定することを示唆してきたと不安そうに書いている。

*《読売》もヒラリー・クリントン押しで、トランプ氏が勝ったあとも、「自国第一主義」は、「世界の貿易を停滞させ、各国の反発を受けるのは必至」と批判していた。

*トランプ氏の大統領就任1年にあたっての記事でも、対北朝鮮外交ともからむ中国の「為替操作国」認定は、民主党はもちろん、共和党の中でも支持を得られないだろうというタッチの記事。そして…。

2019年8月7日付社説
タイトル「米中対立激化 市場の混乱回避へ責任自覚を」のなかで、次のように書いている。「懸念されるのは、対立が通貨の分野にも広がったことである。中国・人民元は約11年ぶりに1ドル=7元台に下落した。米財務省は「ここ数日、中国は通貨切り下げ措置をとった」と指摘し、中国を「為替操作国」に指定した」と。そして、今年1月に続く。

2020年1月14日付
「NYダウ終値、83ドル高の2万8907ドル」の記事中、「米国が、制裁の対象となる「為替操作国」の指定から中国を解除すると報じられ、米中貿易摩擦が当面は和らぐとの期待感が相場を下支えした」と(実際に13日に解除。監視リスト入りは継続)。

●uttiiの眼

中国の「為替操作国」認定は1994年が最初で、そのあとは2019年8月、激しい貿易戦争の最中で行われるまでなかった。上述したように、「3つの基準」があるが、基準を満たせば自動的に認定されるのではなく、“政治”的に運用されているのだろう(第3項目はどうにでもなる)。

2016年の大統領選挙中は激しく中国を非難していたトランプ氏も、就任直後に「中国は為替操作をしていない」と明言するなど、トーンダウンしていた。どうも、本当に深刻になるまで、中国の「為替操作国」認定の話は、米国ナショナリズムの定番ネタのようなところがあったのかもしれない。直接交渉で貿易戦争が一段落した今年1月に解除され、今また「監視リスト」に入れられた。

image by: Shutterstock.com

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ニュースステーションを皮切りにテレビの世界に入って34年。サンデープロジェクト(テレビ朝日)で数々の取材とリポートに携わり、スーパーニュース・アンカー(関西テレビ)や吉田照美ソコダイジナトコ(文化放送)でコメンテーター、J-WAVEのジャム・ザ・ワールドではナビゲーターを務めた。ネット上のメディア、『デモクラTV』の創立メンバーで、自身が司会を務める「デモくらジオ」(金曜夜8時から10時。「ヴィンテージ・ジャズをアナログ・プレーヤーで聴きながら、リラックスして一週間を振り返る名物プログラム」)は番組開始以来、放送300回を超えた。

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【著者】 内田誠 【月額】 月額330円(税込) 【発行周期】 週1回程度

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