我が国にも確実に存在する、「媚中」とも言うべき中国びいきの政治家。彼らはどのようにして中共に取り込まれたのでしょうか。今回の無料メルマガ『日本の情報・戦略を考えるアメリカ通信』では株式会社オンザボード代表の和田憲治さんが、習近平政権がいかにして中国を擁護し続ける「パンダハガー」を増産しているのか、その手口を暴露しています。
パンダハガーとドラゴンスレイヤー
和田です。
中国との外交において、とにかく中国びいきで、自国の国益を無視するがごとく中国を擁護し続ける親中派、媚中派の政治家、官僚、知識人たちをパンダハガー(パンダに抱きつく人)といいます。逆に、中国を疑い、中国からの侵略に警鐘を鳴らす対中強硬派のことは「ドラゴンスレイヤー」(中国を龍として、龍と戦う人)といいます。
現在、世界各国にパンダハガーはいますが、ポイントは、中国がどうやってパンダハガーを増産し、コントロールしているのかを知ることが重要です。
2013年の「全国宣伝思想工作会議」で習近平が行った演説の内容が重要です。その中で、中国のイデオロギー圏を以下3つに分けています。
- 「赤」(中国共産党の拠点)
- 「灰色、グレー」(中間地)
- 「黒」(否定的な世論の“敵対勢力”圏)
これは見事な分類であり、敵と味方、そして、まだ「工作」が完了していない中間があるという認識です。こういう世界観で各国に対峙しているのです。習近平は党に対して、「赤」の領域を保持しつつ「赤」に引きずり込むために「灰色」の領域に手を伸ばし、「黒」の領域と戦うように指示しているようです。
同じく、中国共産党は国際社会へのアプローチにおいて外国人を
- 「すでに党に共感している人々」
- 影響力工作の主なターゲットである「政治的中間者」
- そして説得不可能な「強硬派」
分類しています。冒頭で紹介した「ドラゴンスレイヤー」は「黒」領域、「パンダハガー」は「赤」領域です。そして、「灰色」領域のニュートラルな人たちを自由な開かれた社会の仕組みを悪用して、ジワジワと「パンダハガー」にしていくわけです。この辺はハミルトンとオールバーグの『見えない手』にも書かれています。
日本の政治家や外務省は、はじめはニュートラルであっても、相手によく思われたいという心情もあり、結局、どんどん「パンダハガー」として取り込まれて飼い慣らされてしまいます。
外交において、中国サイドの人間がこのような認識をもって日本側に接して来ているのに、それを警戒することもなく、無防備・無自覚に付き合い、あたかも、「世界・人類はわかりあえる、同じ人間、話せばわかる」かの如く極めておめでたい発想で、対中国外交に当たっていることが大問題なのです。
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和田憲治
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