「どこおるんや」公立中いじめ事件の加害者が送りつけたLINEの異常性

 

文科省重大事態いじめガイドラインと市教委対応の差

Aさんの保護者によれば、当初学校長は、第三者委員会が設置されると言っていたが、市の教育委員会に説明を求めると、第三者委員会ではなく「いじめ対策委員会」を設置したということであったそうだ。

この市はいじめ防止対策協議会の他、いじめ防止等調査委員会の規定があり、いわゆる常設委員会の準備があると想定できるが、Aさんの保護者が受けた説明によれば、学校が調査し、教育委員会を通じて「いじめ防止対策委員会」が判断するということで、委員について職業職種は聞いているが、どこの誰なのかは教えてもらっていないとのことであった。

条例等々を確認したが、公開された範囲でわかることは、いじめ防止対策推進法第14条に基づくいわゆる常設委員会を設置するとあり、経緯不明でいじめ防止対策推進法第28条第1項に基づく調査の再検証などを担当する特別委員会を設置する旨が出てくるのであるが、いじめの第三者委員会は常設委員会の場合はそもそもの任期があって、教育委員会の直下で迅速な対応ができるように調査委員会などが設けられていることになるが、法第28条第1項基づく第三者委員会はその都度設置されるものであり、文科省のガイドラインによれば、度重なる学校や教育委員会による隠ぺい問題を受けて、委員の選任についてなどは「被害側の理解を得る」必要があり、14条に基づく委員会とは全く異質なものなのである。

地方自治の中でいじめ条例を設置し運用する仕組みであるいじめの法の仕組みは、これまでも多くのいじめ問題で、いじめ防止対策推進法といじめ条例の差が浮き彫りになっている。その根幹にあるのが、そもそもの大前提である「被害者に寄り添った対応」が反映されていないことにあり、教育委員会など学校の設置者が、これほど隠ぺい問題が報じられ問題となっているにもかかわらず、勝手に委員を設置してよいと考えていたり、重大事態いじめという概念を文科省が基準を示していても、判断するのは自分たちであると勝手な解釈をしているある種の専横問題がある。

Aさんのケースも、委員会が設置されているのであれば、そういう委員会でどういう決まりがあるのかなど、少なからず中立公平の担保のために、丁寧な事前説明が必要であったろうが、これはなかった。Aさん側はしっかりやってくれるのであれば、特に問題としない意向であるようだが、行政の事務や担保的作業という面では杜撰と言わざるを得ない。

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