習近平の一人勝ち状態か。たった10年で全世界を覆った中国の紅い影

 

やっぱり恐ろしいロシア!?―変わらぬ存在感と苦悩の10年

10年間、リーダーが変わらなかった典型例がロシア共和国です。ウラジミール・プーチン氏が権力の座に就いたまま、ロシアはこの10年を過ごしてきました。

ソ連崩壊のショックによって生じた混乱を収め、特に経済的な復興を遂げた後のこの10年間は、ロシアの国際舞台最前線への復帰と混乱の時間だといえます。

一番の例が、旧ソ連の盟主としてのプライドなのか、自負なのか、グルジア(今のジョージア)やクリミア半島(ウクライナ)への武力侵攻による併合・統合・衛星国化の動きでしょう。

特にクリミア半島への侵攻と併合は、欧米をはじめとする国際社会から激しい非難を受け、再びロシアを孤立させるきっかけともなりました。

しかし、ロシアが持つ石油・天然ガスと、それに依存する欧州各国(特にドイツ)という構図は、ロシアの力の源泉、特に外交力の源泉となり、国際情勢におけるパワーハウスの座に返り咲く原動力になったといえます。

クリミア半島への侵攻は、やり方には問題はあったと思われますが、旧ソ連崩壊後の核兵器の管理という観点からは、旧ソ連の核ミサイルが配備されていたクリミア半島を抑えることで、核兵器の管理責任を果たしたとの見方もできるかもしれません。ウクライナとしては屈辱的だったといえますが。

ただ、かつての米ソ冷戦時代のような超大国への復帰はならず、その地位を中国に奪われてしまいました。ついには、この10年の間に、見方によっては“中国の衛星国化”が進んだとも言えるかもしれません。

いまでも国際的な紛争の背後に陣取り、世界トップレベルの核保有国であり続け、エネルギー安全保障の権化のような存在ですが、プーチン大統領が夢見た“大ロシア帝国の復興”は期待薄だろうと感じさせた10年間になりました。

日本との懸案事項である北方領土問題も一進一退しつつ、結論が出ませんしね…。そもそも結論を出す気がないのではないかと訝しがってしまいたくなります。

憲法改正を経て、プーチン大統領の御代はしばらく続くでしょうが、
次の10年の間に、プーチン大統領の後継者となるリーダーが育ってくるか否かが、
ロシアの今後を占う指針になるでしょう。

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