嘘つきは東北新社か総務省か。国会質疑証言が炙り出す不都合な真実

arata20210325
 

正直こそが美徳とされてきたはずの我が国ですが、今や「隠ぺい」がお家芸となりつつあるようです。その象徴とも言えるのが、東北新社の外資規制違反を巡る政権サイドの姿勢ではないでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では元全国紙社会部記者の新 恭さんが、当案件のこれまでの推移を丁寧に辿り政権と総務省の異常性を明らかにするとともに、不都合な事実は徹頭徹尾かくし通すという安倍政権以来の伝統を厳しく批判しています。

【関連】官僚も姑息。菅首相ロン毛長男を違法接待に走らせた衛星放送利権の闇
【関連】総務省汚職事件に発展か。疑惑の菅首相長男に忖度するマスコミの及び腰

東北新社の外資規制違反をめぐる総務省の不都合な真実

菅首相の長男、正剛氏が勤める東北新社と総務省上層部の怪しい関係はなにもゴージャスな接待だけではなかった。

放送法で定められた外資比率の上限をこえていたのを知りながら、総務省が同社を違法状態のまま衛星基幹放送事業者に認定していた疑いが濃い。しかも、ここへきて武田良太総務大臣が不都合な事実の隠ぺいにからんできているようなのだ。

この疑惑が持ち上がったきっかけは、3月5日の参院予算委員会における小西洋之議員(立憲)の質問だった。

小西議員はかつて、放送事業者の監督にあたる総務省の衛星・地域放送課で課長補佐をしていた経験から、東北新社の外資比率の高さに目をつけた。衛星放送事業者は放送法で外国資本の割合を20%未満とすることが定められている。外国勢力に放送の中身を支配されないようにするためだ。同社は2017年1月24日に総務省からBS・4K放送事業者の認定を受けたが、同年3月31日の有価証券報告書を見ると、案の定、外資比率が21.23%だった。

これについて、小西議員が「外資規制違反ですね。なぜ認定の取り消しをしてないのですか」とただすと、武田総務大臣は「申請した時点は19.96%で、認定を受けたのちに20%をこえた」と答えた。

それが事実に反することは3月12日の参院予算委で、以下のような総務省の訂正によって明らかになった。

「2017年1月に申請した時点の外資比率は20.75%で、当時の外資比率を20%未満として申請したことはミスだったとの報告が今週に入って東北新社からあった。このため総務省としては東北新社が2017年1月の認定において重大な瑕疵があったと判断し認定取り消しにむけて必要な手続きを進めていくものとした」(吉田博史情報流通行政局長)

ここで吉田局長が言いたかったのは、総務省は何も知らなかったということだ。2017年1月24日、東北新社のBS・4K放送「ザ・シネマ4K」を認定したさい、同社の外資比率はすでに20%をこえ、放送法違反の状態だったが、総務省は20%以下とする申請内容をうのみにしていて、気づかなかったという。

東北新社は認定後に外資規制違反に気づき、子会社「東北新社メディアサービス」を設立して、基幹放送事業者の地位を承継する手続きをとり、2017年10月14日付けで総務省から承継の認定を受けた。

print
いま読まれてます

  • 嘘つきは東北新社か総務省か。国会質疑証言が炙り出す不都合な真実
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け