AIが人の表情を数値化。仕組みの進歩は社会の発展に繋がるのか?

 

このような技術は障がいによりできないことをできるようにしていくためである一方、その障がい特性を消してしまうことで良い点も悪い点もあるから、悩ましい。

コミュニケーションを円滑にすることで社会を活性化させ、人々の暮らしを豊かにしようという大きな方向性の中にあって、実はコミュニケーションは二分化しているのも事実である。経済社会の生産性優位の中では、経営学の神様、ドラッカーのコミュニケーションに関する解説が的を射ている。

彼によるとコミュニケーションは「思想、意見、情報を伝達しあい、心を通じ合わせるプロセス」であるが、それは「情報は感情、価値、期待などの人間的属性を除去すればするほど、有効となり、信頼性が高くなる」という。感情のないもの、例えば数だけのほうが信頼を得られることを断言したこの考えは今の社会を成り立たせている思想でもある。

感情を排して事を前に進める仕事は多い。先ほどの笑顔の数値化もこの流れなのかもしれない。支援する仕事と新しい技術。新しい世界を作るには重要なかけ合わせだが、今の感情を大切にしながら前に進めていかなければ道を間違うかもしれないから、やはり考えながら、がよいと思う。

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障がいがある方でも学べる環境を提供する「みんなの大学校」学長として、ケアとメディアの融合を考える「ケアメディア」の理論と実践を目指す研究者としての視点で、ジャーナリスティックに社会の現象を考察します。

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