カギは病院の「初診日」障害年金で得する方法を年金のプロが指南

 

さて、障害基礎年金のみと障害厚生年金が貰える場合とでは大きな違いがありますが、少し障害厚生年金事例を考えてみましょう。

1.昭和46年4月16日生まれの女性A美さん(今は50歳)

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20歳になる平成3年4月時点では大学生だったが、平成5年3月までの24ヶ月間は未納にする。平成5年4月からは市役所で学生免除を利用して平成6年3月までの12ヶ月は保険料全額免除にした(将来の老齢基礎年金の3分の1に反映)。

平成6年4月からは民間企業に就職して厚生年金に加入する。その後、平成7年1月13日に風呂場で強烈な頭痛を訴えたため、母付き添いで救急車で運ばれ、若年性脳卒中のために緊急手術を受ける(初診日は救急車で運ばれた平成7年1月13日)。手術は成功したが、左腕全体にマヒが残ったためリハビリで回復を目指す事になる。

片方の腕全体に障害が残った状態であれば障害年金が請求できるのではないかとの情報を得たため障害年金を検討する。しかし、原則として初診日から1年6ヶ月経たないと請求できないとの事だったので、とりあえず当時の社会保険事務所では初診日以前の年金保険料納付状況を確認する事になる。

初診日までにあまり年金保険料の未納が多いと請求不可となる。初診日の前々月までに被保険者期間がある場合は、その3分の1を超える未納(33.3%超)があってはならない(保険料納付要件)。20歳(平成3年4月)から国民年金に加入して被保険者となり、初診日の前々月は平成6年11月までの44ヶ月間。44ヶ月間のうち24ヶ月が未納(未納率54.5%)。なので障害年金は請求できない。

でも、障害年金の保険料納付要件には昭和61年4月から特例があり、初診日の前々月までの直近1年に未納が無ければそれでもいい。平成5年12月から平成6年11月までの1年間に未納が無かったから請求できる。

ただ、実際に請求可能となるのは初診日から1年6ヵ月経過した日(障害認定日という)である平成8年7月13日。これ以降に障害年金が請求できる。

なお、初診日は厚生年金加入中だったから障害厚生年金の請求になる。障害厚生年金に使う厚生年金期間は平成6年4月から平成8年7月(障害認定月)までの28ヶ月間と、この間の平均給与(25万円とする))。請求の結果2級となる(麻痺は治らないと判断されて一生受給する事になった)。
年金支払いは障害認定月の平成8年7月の翌月分から。

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