いずれ、人的投資、賃金アップと労働市場の流動性を高めることはセットになってくると思います。そして、日本企業への長期投資家の立場から、このように時代に応じた変革を実現させる人的投資、賃金アップと労働市場の流動性を高めることには賛成です。
単年度の「費用」という観点だけではなく、企業の長期的で持続可能な価値創造につながる「投資」としてこれらを捉える投資家が増えれば、企業の行動も変わると期待しています。
人的投資、賃金アップ、労働市場の活性化が、自分の会社にとってネガティブ要因であり、既存の事業モデルをあるがままに継続することを重視したい。会社の新陳代謝を高めることをためらっている経営者が、本当に社員をこれからも守っていけるのでしょうか。
□ ■ 付録:「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」■ □
「論語と算盤」人は平等なるべし
活動の天地は自由なものでなければならぬ。
渋沢の下におりて舞台が狭いなら、
即座に渋沢と縁を切って自由自在に大舞台に乗り出して
思うさま手一杯の働きぶりを見せて下さることを
心から願っている。
社員は当然ながら会社の「人質」ではなく、「自由人」であります。今般の新しい時代における「新しい資本主義」が向上すべきは日本の人的資本です。経営者の真の手腕が試される時代になりました。
「渋沢栄一 訓言集」道徳と功利
人はその常道を踏み、
その本分をつくして得たる報酬によって、
一身を立つべきものである。
単に自己の利益のみを主とし、
利益を得んがために、商売をなすというならば、
すなわち報酬を得たいために、
職務を執るというに同じく、
つまり報酬さえ得れば、
職務はどうでもよいことになる。
これ本来を誤るの甚だしきものである。
一方で、「サラリーマンだから・・・」、「慈善活動をやっている訳じゃないから・・・」と言いながら、ただ仕事をこなしていることについて栄一は釘を刺しています。賃金アップを要求する側にも責務があることを忘れてはならぬということでしょう。
謹白
image by: 公益財団法人渋沢栄一記念財団 - Home | Facebook