何より面白いのは、どんなに優れた作品があっても、必ず人気投票の結果が分散することです。つまり、一番心に響く作品は人それぞれということがわかるのです。
その上で、私は「一番人気を集めた作品を評価するわけではないこと」「みんな違ってみんないいこと」を強調するのです。
最大多数向けの最大公約数的な作品作りや作品評価は、AIにさせておけばいいのです。たった一人でも面白いと言ってくれる人がいたら、その人のために作品を創れば良い のです。いや、 誰一人面白いと思わなくとも、自分が面白いと感じたら、それだけで立派な作品 なのです。
スポーツの話からは、ちょっと離れてしまったように聞こえるかもしれませんが、実は同じことだと思うのです。
大好きなNHKの番組『奇跡のレッスン』で、タイガー・ウッズを育てたルディ・ディラン氏が、公立中学のゴルフ部員へのレッスンをした時に、似たようなことをアドバイスしていました。「失敗は忘れ、良い記憶だけ残そう」。即ち、多くの人が、うまく出来なかったことを反省ノートに書くが、それをやめて、うまく出来たことだけノートに書きなさい と、中学生に伝えたのです。
● NHK – 奇跡のレッスン世界の最強コーチと子どもたち~「ゴルフ」(前編)Facebook
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しかし、自分のどこかがいいところなのか、どこがうまくできたかは、自分ではわからないもの。そこで、教員の私が率先して褒め、さらには、各学生が「みんな違ってみんないい」視点から褒める意味があります。「これから何をすれば良いのか」が自覚できる のです。
さて、最後にお悩みの点にお答えします、かつてのスポ根ドラマに出てくるような厳しい指導を望む親を、どう説得したらいいかというご相談ですが、なかなか難しいと思います。
やはり、私を含めて、過去の自分の体験、それも成功体験を捨て去ることは難しいからです。それに、2:6:2の法則で、どんな素晴らしい方法でも、2割の人は拒絶するものだからです。
もし私だったらまず試してみるのは、その人にさりげなく「自分がコーチの新しいやり方に共感し、それによってわが子が変わった」ことを伝えることです。
「最初は、このやり方甘すぎるんじゃないかと思ったけれど」
と、相手に共感する姿勢を示しながらも、
「最近、うちの子が変わってきたんですよ」
と切り出します。
「以前は、私が厳しく言わないと、何もやらない子だったのに、最近は、自分から自主練習なんかやっているんですよね」
「それから、やり方も自分で工夫しているみたいで、私にもよく見てくれとかアドバイスを求めるようになって驚いています」
「うちの子も最初は、あのコーチのやり方がわからないって言ってましたが、今では私よりも大好きみたいで、ちょっと嫉妬しちゃいます」
とこんな感じで話されてはいかがでしょう?
もちろん、コーチにも同じように感謝の気持ちをこめて伝えましょう。
おそらくコーチ自身も迷いながら試行錯誤しているはず。こうした心温まるエールを送れば、さらに良い指導をしてくれる ことでしょう。
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