「岩国基地」発「広島」経由。中国地方の感染拡大に見る地方医療の崩壊危機

 

もう一つ心配なことがある。それは地方への感染拡大である。政府必死の水際対策も虚しく、今回のオミクロン株の感染拡大は既に懐中にあった米軍基地から起こった。沖縄、山口県岩国がそうである。勿論、全国すべてのオミクロン株が米軍由来とまでは言わないが、少なくとも沖縄全県、岩国→広島→島根ルートはほぼ確実であろう。特に後者は交流人口地図的にもそれがよく分かる。

実際、岩国・広島間は山陽新幹線、山陽自動車道、国道2号、どれを使っても非常に近い。対岸に見える厳島一島分ドライブすればすぐに着く。この中四国地方最大の都市広島が地方エピセンターとなりウィルスが広がったのであろう。

1月17日付で過去最多の感染者(118人)を出している隣接県島根も山陽自動車道→広島自動車道→中国自動車道→浜田自動車道と行けば1時間20分(カーナビ調べ)の距離だ。事実、島根県の当該日のデータを参照したところ(いずれも当該保健所管内のデータ)、

  • 浜田市66人(人口約53,000人)
  • 出雲市24人(人口約172,000人)
  • 松江市12人(人口約202,000人)
  • 益田市4人(人口約44,000人)
  • その他12人

というふうに人口の多少に関係なく、広島とのアクセスのいい浜田市が県内で最も多くの感染者を出している。

この事実には注意しなければならない。島根と言えば人口は全県合わせても約663,000人、典型的な過疎の県である。通勤は車、乗降者の多い駅や巨大オフィス街もなく、人混みとはほぼ無縁の筈である。普通に生活していても十分なほどディスタンスが取れるし、マスク・手指消毒などの基本対策も徹底しているだろうから、これ以上どうしようもない。

さらに悪いことに、こういった地方では医療体制が極めて脆弱である。地方の医師不足はCOVID-19前から指摘されてきた通りである。現実問題として、このような市町村は日本中に数え切れないほどある。数え切れないほどある場所に数え切れないほどの感染者が出たらそれこそ地獄の沙汰である。

「小敵と見て侮らず」第6波にあって、このことをしっかり肝に銘じておきたい。

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image by: Shutterstock.com

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