死亡者を出した、新潟の食品工場では、避難誘導灯の不備を消防から指摘されていたにもかかわらず、火災発生時、工場内が真っ暗になり、逃げることが難しかったと、報道されています。停電になっても、しばらくは明るくなる蓄光灯などで、避難経路が明確になっているかの確認が必要です。
報道では、防火シャッターが自動で降りたあと、避難するための、ドアがわからなかったとされています。日常的な訓練と同時に、避難経路は、ある程度の明るさが保たれる、蓄光の構造が必要だと思います。
今回も、避難経路が確保され、訓練ができ、明るさが保たれていれば、最悪の結果は、避けることができたはずです。
天ぷらを揚げるときに発生する天かすを、網の上にためて置くと自然発火することは、フライヤーを使用する方の中ではよく知られていることです。同じように、焼き菓子のクズが溜まっている、オーブンのそばでも自然発火の可能性は多くあるものです。
熱を蓄えたものが、しばらく置かれていると、自然発火する可能性があります。フライヤーから出た天かすなどは、廃棄する前に、天かすの上に氷を乗せ、完全にひやしてから廃棄する必要があります。
同じように、ダクトの中の汚れ、オーブンの角のカスなどは、定期的に清掃し、汚れを取り除くことは、基本の基本です。
新潟の工場では、過去に何回もボヤを起こしてしたとされています。大きな事故を起こす前には、何度も小さな事故を起こしているという法則から学んでいれば、ボヤのうちに対策を立てていたはずです。
ボヤが起きたとき、消防署のチェックで誘導灯の指摘を受けたときに、素直に対策を取っていれば、死亡事故は起こさなかったはずです。
工場運営、組織運営は、従業員の安全が、基本の土台です。従業員の安全すら管理できない組織は、品質管理などは、全く行えない組織だと思っています。
避難経路の確認、火災を起こすことの可能性のあるところの確認、さらに、避難した時の、全員の安全点呼をどう行うかの確認、従業員の家族への連絡体制の確認、早急に再点検を行なってみませんか。
(無料メルマガ『食品工場の工場長の仕事』2022年2月17日号より一部抜粋)
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