ウクライナ紛争でも証明か。戦争は「英国が味方に付いた方が勝つ」という不敗神話

2022.04.19
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圧倒的な軍事力を誇るロシアを相手に、一歩も引かぬ抗戦姿勢で驚異的な戦果を上げるウクライナ。そんなウクライナをアメリカとともに強力に援護するイギリスには、現在まで継続している「味方についた国は負けない」という神話があるといいます。この不敗神話を取り上げているのは、立命館大学政策科学部教授で政治学者の上久保誠人さん。上久保さんは今回、その事例として日露戦争を挙げイギリスが果たした役割を紹介するとともに、日本が今後、イギリスと同盟関係を結ぶべき「神話」の存在以外の理由を解説しています。

プロフィール:上久保誠人(かみくぼ・まさと)
立命館大学政策科学部教授。1968年愛媛県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、伊藤忠商事勤務を経て、英国ウォーリック大学大学院政治・国際学研究科博士課程修了。Ph.D(政治学・国際学、ウォーリック大学)。主な業績は、『逆説の地政学』(晃洋書房)。

「戦争は英国が味方についた方が勝つ」という不敗神話

ウクライナとロシアの停戦協議が停滞している。ロシア軍による民間人虐殺疑惑が明らかになったことで、ウクライナ側が態度を硬化させた。ウクライナ側は、ロシアが併合した南部クリミアについて「15年かけて協議する」との方針を撤回し、「ウクライナの領土の一体性」について一歩も譲歩しない姿勢に戻った。それをロシア側は、「最も重要な部分が抜け落ちている」と拒否した。停戦協定は、先行きがみえなくなった。

ウクライナ軍の想像を超える奮戦が続き、紛争が長期化・泥沼化した背景には、米国、英国などを中心とするNATO軍のウクライナに対する支援がある。対戦車ミサイル「ジャベリン」、トルコ製のドローン「バイラクタルTB2」、歩兵が肩に担いで撃てる地対空ミサイル「スティンガー」などの、NATO軍からウクライナ軍に提供された兵器が威力を発揮している。重要なことは、これらの兵器が、戦争が始まってから提供されたものではないことだ。すでに開戦前にウクライナが保有し、ロシア軍を待ち構えていたのだ。

特に、米英は昨年11月頃から、ロシアのウクライナへの大規模侵攻の懸念を訴え続けていた。確かに、ロシア軍約17万人がウクライナとの国境沿いに終結していた。だが、ウクライナのオレクシー・レズニコウ国防相が「侵攻が迫っている兆候はない」と発言するなど、誰も本当にロシア軍がウクライナに侵攻するとは考えていなかった時だった。ところが、ジョー・バイデン米大統領やボリス・ジョンソン英首相は、まるで戦争を煽るかのように、ロシア軍の危険性を指摘し続けていた。

昨年12月、米誌ワシントン・ポストは、情報機関の文書の内容として、ロシアがウクライナ侵攻を計画中と報じた。そして、ウクライナ国境に集結したロシア軍の規模や侵攻ルートを指摘した。驚くべきは、実際に侵攻が始まった時の規模・侵攻ルートを正確に当てていたことだ。

そして、戦闘が始まると、ウクライナ軍は、ロシア軍の経路、車列の規模、先端の位置などを把握して市街地でロシア軍を待ち伏せし、対戦車ミサイルやドローンで攻撃した。ロシア軍は多数の死者を出してしまった。ウクライナ軍の背後には、米英の情報機関の支援があると指摘されている。

要するに、米英は、プーチン政権・ロシア軍の意思決定をリアルタイムに近い形で把握している。それが、ウクライナの想像を超えた大善戦をもたらし、ロシアを「進むも地獄、引くも地獄」の泥沼の戦争に引き込んだということだ。

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