“アメリカの犬は日本と韓国だけ”とまで揶揄されるアメリカの外交政策。それは同盟国作りが難航していることを示しており、特に新興国からアメリカはかなり嫌われているようです。一体、原因はどこにあるのでしょうか?その理由を総括していきます。
バイデンが同盟国作りに苦戦している3つの明確な原因
今、世界は大きくブロック化の流れを見せている中で、一か国でも多くの賛同国をつくりたいアメリカですが、ご紹介してきた通り関係構築に大きく苦戦しています。
特に新興国では、今のアメリカバイデン政権が同盟国作りに苦しむ根拠、原因が明確に存在しています。
これを整理すると大きく3つになりますが、まず1つ目は、人権問題やグリーンエネルギーなどで、高い目標や基準を要求することです。
特に新興国の中には専制主義色の強い政権がまだまだ多く、人道主義で厳しい規制をされることを嫌う傾向にある一方で、その専制主義をより深めてより経済的な繁栄を目指す中で、余計な基準で邪魔をされたくないと考える国が多くあります。
次に2つ目ですが、アメリカが自国の市場を開放せず、新興国に参入機会を与えない方向に変わったことです。
新興国は、当然ながら何よりも自国の経済発展と繁栄を優先しますが、最前線で市場開放と自由貿易によってグローバル経済を推し進め、世界の経済的繁栄に最も寄与して来たアメリカが、今は完全に逆。
「保護主義化」していて、自国の雇用を優先し、世界最大のGDPを持つ「アメリカ市場」を開放しない結果、新興国から見れば、アメリカは利益や繁栄をもたらしてくれない国、になってしまっています。
そして最後は安全保障です。これも、ベトナム、イラク、アフガンと軍事介入に失敗してきて、益々有事の際にアメリカ軍の直接参加が期待出来なくなってきています。
一方で、残る手法は今ウクライナの手法に近い、武器の供与、実際は売却ですが、こちらも、アメリカ製の武器はまず非常に高価であること、そして機密に関する規制が複雑で強く、購入後のメンテなどに困難を要します。
そのためサウジアラビアなどでもそうですが敬遠され、ロシア製や、後で述べますが、中国製が購入される、という流れが大きくなってきています。
この3つの要因によって、アメリカは新興国から見ると、繁栄には寄与してくれないのにルールばかりがうるさく、安全保障面でも頼りにならない、という存在になりつつあります。
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嫌われるアメリカに対して中国はうまく進めている
一方で中国は、このアメリカの足かせとは全く逆の手法で新興国に大きく食い込んでいます。
人権問題やグリーンエネルギー問題でルールは一切なく、経済問題では一帯一路構想が「債務の罠」で批判されて以降、大きく方向転換をして、支援金でインフラ整備を行い、世界第2位のGDPの中国市場を開放することで経済繁栄をもたらします。
そして安全保障では、アメリカ製に比べて安価で機密の規制もない武器をどんどん売却し、軍事依存度も同時に高めることに成功しています。
成功している最たる例が、今話題の南太平洋諸国です。
中国の王毅外相が5月26日から10日間の日程で、ミクロネシア、ソロモン諸島、フィジーなど太平洋8か国を訪問しました。
本当は30日に太平洋10か国が参加する大きな2つの地域協定に締結する予定でしたが、そこまではもって行けなかったものの、少なくともアメリカからは大きくリードしています。
これらの国々には、相当のお金をばら撒いて経済支援、つまりインフラ整備などを行っていて、数か国の反対が無ければ締結する一歩手前でした。
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西側としてはギリギリで大きなリスクを回避出来ましたが、今後の流れ次第ではあのエリアが丸々中国の軍事支配圏になる可能性は捨てきれません。