日本経済の凋落は“コンプライアンス・バカ”のせい。なぜ人材が小粒化してしまったのか

2022.06.13
Modern tower buildings or skyscrapers in financial district with cloud on sunny day in Chicago, USA. Construction industry, business enterprise organization, or communication technology concept
 

高度成長期の頃は、“気宇壮大なスケールのバカ”が各産業におり、社会通念をひっくり返すようなビジョンをかかげて、大企業をつくってきました。

浜松の町工場からスーパーカブを世に出して二輪産業からはじめた本田宗一郎は、つぎは自動車だと、自動車製造工場をたちあげると、「日本の自動車会社は2社に集約する政策」を打ち出した経済産業省(旧通産省)に出向き、官僚の前で“ニッポンの自動車産業をつぶす気か!”と怒鳴りこんだそうです。まだ町工場に毛が生えた程度の本田技研工業だったころです。

ソフトバンクを創業した孫正義社長は、アメリカ留学から帰ってくると、福岡市のアパートの一室に、アルバイト社員を集め、「俺たちはいずれ、売上高が1兆円、2兆円と、豆腐をかぞえるようなスケールの会社になるのだ!」と叫び、アタマがおかしいと思われてアルバイト社員が退社してしまいました。

孫社長は、ソフトウェアの卸売会社から、携帯通信会社に脱皮すると、新興企業に回線を回してくれない総務省にしびれをきらし、役所をおとずれると、官僚の前で「イエスといってくれなければ、私はここを動きません。ここで油をかぶって自殺します。」とまで言って、回線認可の許可を取ったそうです。

こうした破天荒な発想をもつ創業経営者が多く生まれ、終戦直後も高度経済成長期も、バブル期も新興企業が急成長していきました。

ところが、官庁が民間に法令順守や過剰な規制を矢継ぎ早にかけていくと、民間も法務部やコンプライアンス部などの非営利部門ばかり拡大し、監督官庁のつくった規制ばかりを守るように社員を“Don’t”(あれをするな、これをするな)でしばりつけます。

社内恋愛くらい、社員のモラルにまかせて、違法行為さえしなければやっても良いと思いますが、そうした個人の行動ですらコンプライアンス部が規則でしばりつけ、あげくの果てに成婚率の減少にむすびついてしまいました。

非営利部門が拡大し、社員の行動に手かせ、足かせがつけられると、自由な発想、大胆な行動で周囲を驚かせる気宇壮大なバカは、息苦しくなり、会社を捨てたり、日本を捨てたりしてカリフォルニア州や、東南アジアのシンガポールや香港、マレーシアなどに移住してしまいます。

おりしもリーマンショックが起こった2008年以降、金融業界では、「日本の金融庁が課す過剰な規制のもとでは業務がやりづらい」と、外資系金融機関はどんどんアジアのヘッドクオーターをシンガポールや香港にうつし、外資金融の業界人口は最盛期の3万8,000人から2万2,000人にまで減ってしまいました。

民間のダイナミズムを活かすには、非営利部門を肥大化させず、勢いのある社員を自由に動かし、大胆な発想や新機軸の事業アイデア創出に任せるべきではないでしょうか。

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image by: Shutterstock.com

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静岡県浜松市出身。バブル期に大学を卒業し、総合商社にバッサバッサと落とされて外資系銀行に就職。ドイツ系銀行、米系証券会社、米系銀行と25年以上を外資系金融で過ごし、クリエイティブな発想を身につける。社会に刺激や知識をバラまくことで活性化させようと決意し、多忙な日々を縫って情報発信を続ける。

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