プーチン“核兵器使用”の最悪シナリオ。照準は「あの首都」か?

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実効支配中のウクライナ東部と南部の4州で、一方的な住民投票を行ったロシア。西側諸国はその正当性を認めない姿勢を明らかにしていますが、プーチン大統領がこの投票を実施した狙いはどこにあるのでしょうか。。今回のメルマガ『最後の調停官 島田久仁彦の『無敵の交渉・コミュニケーション術』』では元国連紛争調停官の島田さんが、考えうる複数のシナリオを紹介し各々について詳しく解説。さらにプーチン大統領がどの都市に向け核ミサイルを撃ち込むのかを考察しています。

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プーチン大統領のロシアは本当に袋小路に陥ったのか?

「大統領令により30万人の予備役が招集された」

「経済的に余裕のあるロシア人は挙ってその徴兵を避けるため、国外脱出を図った。それにより大渋滞が起き、ロシア発の航空券の価格は高騰している」

「ある程度、軍経験のある予備役が対象のはずなのに、軍事訓練を受けたこともない男子が突如、徴兵された」

「母国を守るための戦いではなく、Brothers and sistersを殺すために銃を握るよりは、牢獄に入れられるほうがいい」

この1週間、予備役徴兵の大統領令が出されてから、“ロシア人の声”が連日報じられました。

ロシア国内の各共和国・都市などで徴兵に対するデモが行われ、治安部隊による制圧の場面が繰り返し流され、母親たち・妻たちが泣き叫ぶ姿が映し出され、いかにプーチン大統領が自国民に対して酷なことをしているのかを印象付ける映像が流されています。

その“声”の内容の真偽はともかく、確実にロシアによるウクライナ侵攻は別の次元に入ったと言えます。

それはつまり【ロシア国民にとってこれまでどこか他人事だったウクライナでの戦争が、急に自分事に変わった】ということでしょう。

言い換えると「政府がよその国で行っている戦い」が、急に「自分や家族が前線に送られるかもしれない戦い」に変わることになりました。

この予備役の招集・動員はその転換点の一つと思われます。これまでウクライナ侵攻の最前線に配置されてきた志願兵やプロの軍隊に比べると、予備役の兵士たちの士気ははるかに低く、かつ能力も低いとされる予備役を敢えて投入するというのは“ロシアの行き詰まり”を意味するという分析もできますし、恐らく大きな戦況の反転には寄与しないと思われます。

明らかにやる気が感じられない予備役の兵士たちの姿が映し出され、経験・訓練不足な彼らはウクライナ軍による反転攻勢が激しい前線に送られるに違いないという報道がなされていますが、これは本当に実情を映し出しているのでしょうか?

多方面から届けられている情報を分析してみると、かなりの違和感を抱く状況にあることを申し上げておきたいと思います。

中には、ウクライナとの“戦い”そして同胞ロシア人を守るための戦いに自らも加わる機会を得たことに喜びを感じてしまう予備役の兵もいるようです。

そしてメディアによって描写される“状況”とプーチン大統領の意図の分析に対して違和感を抱かせるもう一つの要素が、今週に入って行われた4州での“一方的な”住民投票の存在と意味です。

結果については分かり切っていたことなので、9割以上のロシアへの編入への支持が示されたという“結果”には驚きません。

今回の結果を受けて各州の親ロシア人勢力はプーチン大統領に対してロシアへの編入を申請し、30日にはプーチン大統領がそれらを“承認する”と予想されています。

クレムリン宮殿前の赤の広場にはステージが作られ、そこでプーチン大統領が演説し、そして4州のロシアへの編入・帰還を祝うのだと言われています。

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