日本本土も攻撃目標に。台湾独立宣言なら必ず武力行使に出る中国

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もはやいつ起ころうとも不思議ではないとの声も多く聞かれる、中国による台湾への軍事侵攻。バイデン大統領も「その際には台湾を守る」という趣旨の発言を繰り返していますが、この状況を識者はどう見ているのでしょうか。今回のメルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』では著者でジャーナリストの高野孟さんが、中台間の武力紛争にアメリカや日本が介入することは中国への「侵略」に当たるとして、その理由を解説。さらに台湾が独立を宣言しなければ中国が武力行使に出ることはありえず、昨今の台湾独立を煽るかのようなバイデン大統領の発言を控えさせることこそ岸田首相の役割、としています。

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※本記事は有料メルマガ『高野孟のTHE JOURNAL』2022年10月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール高野孟たかのはじめ
1944年東京生まれ。1968年早稲田大学文学部西洋哲学科卒。通信社、広告会社勤務の後、1975年からフリー・ジャーナリストに。同時に内外政経ニュースレター『インサイダー』の創刊に参加。80年に(株)インサイダーを設立し、代表取締役兼編集長に就任。2002年に早稲田大学客員教授に就任。08年に《THE JOURNAL》に改名し、論説主幹に就任。現在は千葉県鴨川市に在住しながら、半農半ジャーナリストとしてとして活動中。

バイデン米大統領の「台湾有事」論は認知バイアスの表れではないのか?

バイデン米大統領は「台湾有事には米軍が介入する」という趣旨の発言を繰り返しており、最新のものは9月18日に米CBSの60ミニッツに出演した際のもので、ある論者によるとこれがその種の発言の6回目であるという。CBSニュースのサイトにはこう記録されている。

バイデン発言のそのまま

▼ヴラジーミル・プーチンは9月15日に中国の指導者=習近平と会談した。ロシアのウクライナでの戦争が中国に台湾の島を攻撃しようという気にさせるかもしれないという懸念がある。

▼1979年以来の米国の政策は、台湾を中国の一部と認めながらも、米軍が台湾の民主政府を防衛するかどうかは明言しないというものだった。60ミニッツの司会者スコット・ペリーがそれに付いてバイデンに訊いた。

▼「あなたの台湾に対するコミットメントについて中国の習主席はどう考えればいいのか」とペリーは大統領に尋ねた。「我々〔両国〕がずっと昔〔1972年〕に署名したこと〔ニクソン大統領訪中による米中共同声明の中の台湾関連条項=注〕について、我々〔バイデンと習〕は合意している」と大統領は言った。「そして『一つの中国』政策が存在する〔ことについても合意しており〕、従って台湾は独立について自分たちで判断する。我々〔米国〕が動いているわけでも、台湾に独立を促しているわけでもない。台湾が決めることだ」

▼「しかし、米軍は〔台湾の〕島を守ることになるのか」とペリーは問うた。「イエス。もし実際に前例のない攻撃があったならば」とバイデンは言った。

▼「とすると、ウクライナとは明らかに違って」とペリーは言った。「米軍は、米国人の男女は、中国が侵略した場合には台湾防衛に当たるのか?」「イエス」と大統領は言った。

▼このインタビューの後、ホワイトハウス高官は米国の台湾政策は変わっていないと述べた。公式には米国は、米軍が台湾を防衛するかどうかについては「戦略的曖昧さ」を維持しているが、台湾関係法は台湾の自衛のための軍備を支援することを米国に義務づけている。

▼それはまさしく今月早々に起きたことで、国務省は民主台湾に11億ドルの軍需装備を売却すると発表した。「このパッケージは、中国が台湾に対する圧力を強めているが故にそれに対応して必要になったと認められる一連の措置の一環である」と、同省スポークスマンは9月6日の会見で述べた。「我々は、これまでもこれからも北京に対しては責任ある、着実な、決然とした態度を取り続け、対話の回線を開いたままに維持するけれども、しかし同時に一貫して我々なりのやり方で台湾を支援していく」と。

▼中国大使館のスポークスマン=リュウ・プンギュはツイートを通じ「この取引は『台湾独立』の分離主義勢力に誤ったメッセージを与えるもので、中米関係と台湾海峡をめぐる平和と安定を損なうものだ。中国はこれに断固反対する」と語った。

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