ところで、本来は年金というのは一身専属権(他の人に権利が移転しない事)により、誰かに年金を受給する権利を渡すような事は禁止されています。
自分の年金は自分名義でしか貰う事は出来ません。
年金はそういうものですが、例外的に未支給年金の場合は遺族の請求で本人が受給できなかった年金を貰えるようにしています。
まあ、一定の遺族が居ればいいですが、居ない場合は国に返る事にはなります。
さて、年金受給者が亡くなった場合は必ず発生する未支給年金ですが、どのような遺族が受給する事が出来るのでしょうか。
定義としては以下になります。
ア.死亡時点で生計を同じくしていた。
イ.死亡時点で生計を同じくしていた、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、3親等以内の親族の順で一番上の順位の人が請求します。
ア.についてですが、生計同一要件と言いますが、これは本人死亡時に住民票が一緒だったとか同居してた、別居はしていたけど生計費は同一にしていたというような事ですね。
そういえば遺族年金請求時は生計同一要件ではなく、遺族の前年収入なども見ないといけませんが、収入などは見ません。
イ.は年金法で、請求できる範囲を決めて、この中で一番上の順位の人が請求者になります。
順番は上記の順となります。
ただし、上の順位の人が生計同一じゃなかったなら、下の順位者が請求という事になります。
妻とは別居してて、生計費を一にしてないしまったく連絡すらも取っていない状態だったなら、妻とは生計同一関係がないので、下の順位者である同居者などが請求者となります。
ちなみに、「子」や「孫」というと18歳年度末未満であるという要件が年金(遺族年金や加給年金など)ではよく見られますが、未支給年金ではそのような年齢は見ませんのでそこも気を付けたほうがいいですね。
次に、未支給年金は時効が5年なので、時効内に請求しないのであれば国に返還という事になります。
例えば11月に死亡したのであれば、10月分と11月分が未支給年金となり、5年後の12月31日までに請求しなければ時効で未支給年金が請求できなくなります。
なぜ12月31日なのかというと、10月分と11月分は12月15日にならないと受給できないので、受給できる時点(12月15日)から時効が進みだすため、そこから5年後という事になります。
10月分や11月分をまだ貰えてない振り込み日前から時効が進みだしたら不利益ですもんね^^;
実務上は「支払い期月(12月ですね)の末日の翌日」からを時効の始まりとしているため、5年後の支払い期月の12月末までには請求してくれれば大丈夫ですよという事になっています。
というわけで、今回は未支給年金の事例を2つ考えてみます。
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