ヒトラーと日本は「メンター」の言うことを聞かずに戦争で負けた

BERLIN, GERMANY - OCT 1, 2017: Adolf Hitler, the leader of the Nazi Party who initiated World War II in Europe, Madame Tussauds Berlin wax museum.
 

「大戦略眼」は確かだったハウスホーファー

というわけで、ハウスホーファーは、「ヒトラーに悪魔の思想を植えつけた男」として、歴史に悪名を残しています。しかし、彼には「興味深い事実」もあります。一つは、ハウスホーファーの【大戦略眼】が「確かだった」ということ。どういうことでしょうか?

実は、ハウスホーファーは、ヒトラーと仲たがいしています。なぜ?ハウスホーファーは、地政学の観点から、「シーパワー連合(米英)に勝利するために、ドイツとソ連は同盟し、ランドパワー連合をつくるべき」と主張していました(ハウスホーファーは日本好きだったせいか、独ソ同盟に、日本を加えることも主張しました)。

ドイツは1939年8月、ソ連と「不可侵条約」を結びます。これは、ハウスホーファーの教えどおりでした。1940年、ヒトラーは、ものすごいスピードで、大陸欧州の支配を実現します。たとえばナチスドイツは、わずか1か月で大国フランスに勝利したのです。

ヒトラーは、次にソ連征服を企てます。彼は1941年6月、ドイツはソ連を攻撃し、独ソ戦がはじまりました。ハウスホーファーは、ソ連侵攻に断固反対でした。結果、メンター・ハウスホーファー、弟子ヒトラーは決裂したのです。

そして、歴史を知る私たちは、ハウスホーファーが正しかったことを知っています。もしヒトラーがこの時、ハウスホーファーのいうことを聞いていればどうなったでしょう。ドイツの敵は、ソ連侵攻前、事実上イギリス一国だけでした。それで、ドイツはイギリスに勝利し、全欧州の覇者になれた可能性があります。しかし実際は、西でイギリス、アメリカと、東でソ連と戦う「二正面作戦」になった。必然的に、ヒトラーは敗北したのです。

ヒトラーは自殺する前に思ったでしょうか?「マスターのいうことを聞いておけばよかった…」と。

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