編集後記「締めの都々逸」
「かちっと作るか ゆるりと外すか 粋と野暮とのさじ加減」
日本のメンズファッションの歴史を振り返ると、まずヨーロッパのテーラーの技術が輸入され、技能五輪で優勝するほどの技術を習得したが、既製服に押され、テーラーは淘汰された。イタリアではテーラーの技術者が既製服業界に入って行ったが、日本では両者は融合しなかった。
その後、VANがアメリカントラディッショナルを基本とするアイビーを提唱し、既製服としてのメンズファッションの魅力を定着させた。
アンチVANとしてビームス、シップスが出てきて、その後のプレッピー、渋カジ、セレクトショップへと発展していった。
もう一つの流れとして、メンズDCブランドが登場し、ルールで固まったトラディッショナルを嫌い、現代的で日本的なメンズファッションを作り上げた。この頃が日本のメンズファッションのピークだったかもしれない。
そこから、バブル崩壊と激安ブーム、コスパ優先の風潮が続き、中国生産がメインになった。国内のテキスタイルメーカーも国内のアパレルも淘汰され、コスパのスーツとコスパのカジュアルが全盛となった。(←今ココ)
でも、コスパ優先の中国生産も危機を迎えている。今後のことを考えると、再度基本に立ち返って考える必要があるな、と感じた次第です。(坂口昌章)
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