ドイツの決断でウクライナへ供与されることとなった、世界最強の戦車とも言われるレオパルト2。プーチン大統領はこの決定をどう受け止め、そしてロシア軍はこの先どのような戦術を展開するのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、次の負けが許されなくなったプーチン氏が大攻勢を仕掛ける可能性を指摘。全世界が歴史に残る戦いを目撃することになると予測しています。
戦車大量供与~米英独もウクライナ―ロシア最終決戦に備えはじめた
「現代ビジネス」1月19日付に、「『ロシア・ウクライナ最終決戦』の予兆…! 歴史の教科書に載るであろう『大きな戦い』が近づいている」という記事が掲載されました。今回の話と関係があるので、まだの方は、是非ご一読ください。
- プーチンが、ロシア軍のトップ・ゲラシモフ参謀総長を、ウクライナ特別軍事作戦の総司令官に任命した
- ウクライナの北隣、ロシアの西隣にあるベラルーシで、ロシア軍とベラルーシ軍の合同軍事演習が行われた
これらのファクターは、ロシア軍が大規模な攻勢を計画していることを示しています。しかも、総司令官はゲラシモフ。ロシア軍のラスボスが指揮して負けたら、後がありません。だから、予想される大規模な戦闘は、「最終決戦」になる可能性がある。
ウクライナに戦車を供与するアメリカ、イギリス、ドイツ
ウクライナ軍が善戦している。「自国の領土を侵略者から守る」というウクライナ軍の士気の高さが、強さの秘密でしょう。
しかし、欧米から大量の武器が供給されていなければ、ウクライナはとっくに負けていたはずです。初期の段階では、携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」や、トルコ製のドローン「バイラクタル」が大活躍しました。これらの兵器のおかげで、ウクライナ軍はロシアの戦車部隊を破壊しまくり、首都キーウを守ることができたのです。
6月にアメリカからハイマースが供与されるようになると、戦況が変わりました。ウクライナ軍は、ハイマースを使い、ロシア軍の弾薬や物資の供給網、指揮所などの軍事拠点を長距離から正確に破壊できるようになった。
そして今度は、欧米諸国がいよいよ戦車をウクライナに供与することを決めました。欧米は、ロシアの大攻勢を耐え抜き、撃破するだけの力をウクライナに与えたいのでしょう。
イギリスは「チャレンジャー2」を14両、アメリカは「M1エイブラムス」を31両、ドイツは「レオパルト2」を14両、ウクライナに供与します。
大陸欧州でもっとも使われているのが、ドイツ製戦車「レオパルト2」。ドイツだけでなく、ポーランド、フィンランド、カナダなど12か国が「レオパルト2」をウクライナに供与します。ウクライナは、合わせて約100両の戦車を受け取ることになるそうです。