メニューはひとつだけ。古くから地元民に愛される「かき揚げうどん一択」な店の秘密

Woman enjoy japanese ramen in restaurantWoman enjoy japanese ramen in restaurant
 

古くから地元民に愛されるお店は、他のお店と一体何が違うのでしょうか。今回のメルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』では、著者の佐藤きよあきさんが、 埼玉県にあるとあるうどん屋さんを紹介。ふらっと寄れるそのお店の秘密を解明しています。

もはや地元民の食卓。ねぎのかき揚げうどん一択のお店

どの土地に行っても、古くから地元民に愛され続けている食べもの屋さんがあります。暖簾をくぐると、「いらっしゃい!」「まいど!」「お帰り!」「久しぶり」。慣れ親しんだ空気が、優しく迎え入れてくれます。実家に帰ったような安心感に包まれ、しばし癒される時間が……。

埼玉県羽生市。創業約70年のうどん屋さん「とちぎや」も、そんなお店です。飾り気のない店構えに、年季の入った暖簾。中に入ると、掃除は行き届いているものの、雑多な雰囲気でお客さまを緊張させず、くつろげる空間になっています。

壁には、サッカーや野球選手のユニフォームやサインが掛けられています。これらは三代目店主の趣味ですが、こういうものがあると、お客さまが店主の人となりを知ることができ、安心感というのか、親しみを感じることができます。

このお店、うどん屋さんと言えど、メニューはただひとつ。ねぎのかき揚げと刻んだねぎがのったうどんのみ。温かいものと冷たいものがあり、「並」「大」「特大」「超特大」のサイズ違いが選べます。

お客さまの注文も簡単。「温かいの 大」「冷たいの 特大」。メニューがひとつなので、お客さまも迷うことなく、いつもの注文をスラスラと。

麺打ちは機械を使わず、すべて手作業。生地を捏ねて、一晩寝かせます。コシは強過ぎず、柔らか過ぎず。真っ白でツヤツヤな麺は、ツルツルな喉越し。

つゆは、カツオとサバの合わせだし。色は濃いのですが、だしの風味が生きています。

うどんにのっているかき揚げは、店主のお母さんが担当。大量の長ねぎと水で溶いた小麦粉を混ぜて揚げるのですが、サクサク衣ではなく、もっちりとした食感。これは、つゆに浸して食べることを想定しているからです。

磨き上げられた老舗の味ではありません。創業者である祖父から受け継がれていますが、地域住民の舌に合った、庶民の味です。約70年という歴史は、尊敬に値する重きことです。しかし、地元に根づき、お店の価値を高めようとすることもなく、飽きることのない味を守り続けているのです。

地元の人が、家庭で食事をするかの如く、「今日はうどんにしよ!」という時に、気軽にやって来るお店です。自分の家の台所兼食卓なのです。食卓に座って、お店のお母さんと話をするためにやって来る常連さんも多くいます。

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