後手に回って結局「誤報」。北のミサイルすら見失う自衛隊の役立たず

 

パトリオット迎撃ミサイル部隊はどのように立ち働いたのか

第2に、マスコミがほとんど取り上げていないことだが、「8時頃に北海道周辺に落下する」と判断した時点で、航空自衛隊の誇るべきパトリオット迎撃ミサイル部隊はどのように立ち働いたのか。

北海道民ならびに日本国民を全国放送で約30分に渡って「直ちに避難 直ちに避難 直ちに建物の中、又は地下へ避難して下さい」と、緊迫的な声の繰り返しの放送で訳も分からないまま徒に脅し上げる前に、

「これはミサイル攻撃ではなく、ロケット発射実験と判断されるので、機体の一部や部品が落下する危険があることに注意して、落ち着いて行動して下さい」

「仮にもミサイル攻撃であった場合でも、我が国はパトリオットを中心に万全のミサイル防衛システムを整えているのでご心配なく」

と言って安心させるのが王道ではないのか。

北海道には、青森県三沢航空基地に本部を置く「北部高射群」の下に、千歳空港、夕張市長沼、二海郡八雲町、それに海を渡った津軽半島の車力に、計8つの高射隊を有している。これらの部隊は、今回の場合、どの時点でどのような情報と命令を受け、どのように行動したのかはきちんと検証されるべきだろう。政府は「敵に手の内を明かすことになる」とか言って隠すだろうけれど、7時22分に発射されたミサイルが「8時頃に北海道周辺に落下する」と判断した時点で、もしこれが本当に北海道を狙った短・中距離ミサイルであれば、すでにとっくに着弾しているはずである。

すでに“オオカミ少年”化しているJアラート

第3に、「Jアラート」自体のいい加減さである。上空通過の場合もJアラートは発せられるが、この発出内容が出鱈目で、役に立たない。

昨年10月4日の北のミサイル発射の場合は、午前7時22分に発射されたロケットが7時27分頃に青森県上空を通過。珍しく早くそのタイミングでJアラートを発したのは良かったが、

「ミサイル発射。ミサイル発射。北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中、又は地下に避難して下さい」

「対象地域:北海道、大島町、利島町、新島村、神津島、三宅村、御蔵島村、八丈町、青ヶ島村、小笠原村」

というもので、肝心の青森県が入っておらず、北海道全域が入っていて、それ以外の大島町以下の9町村は東京都の伊豆七島で全く何の関係もない誤報だった。こんなことを繰り返していては、今回の場合に北海道の人々が「また何か言ってるよ」くらいにしか受け止めないのも当たり前で、すでにJアラート自体が“オオカミ少年”化していると言える。

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