2.大手チェーンの戦略
では、大手は今後どのような戦略を打ち出していくのでしょう。
確かに、スポーツ小売市場は、大手スポーツチェーンによって拡大をしたと言えます。出店に継ぐ出店で、売り場面積が広がりました。メーカーさんや問屋さんにしてみれば、商品を放り込んでおけば大きな売上が手にできます。ですから、今なお大手チェーンにすがっているようです。
しかし、大手チェーン拡大の裏では、いくつかの弊害ももたらされました。たとえば、
・価格破壊を起こして、スポーツ用品の割引販売が常態化した
・地方の弱小小売店の営業を困難にした
・メーカー、問屋の地域小売店への営業活動が減少した
・仕入先への返品も多く、在庫処分による価格の乱れを生じさせた
といったことです。
大手チェーンは、売場も広く綺麗で安く買えるのですから、消費者にとってはありがたい店です。一方、業界にとってありがたい店かどうかといえば、必ずしもそうではない気がします。今あげた弊害があるからです。
つまり、彼らが素晴らしく良いことをして来たかどうかについては、疑問が残ります。たとえば、5社のどこかの店が、革新的な売場づくりや売場提案をしたことがあるでしょうか。斬新な商品管理システムや顧客管理システムなど、画期的なシステムを開発できたでしょうか。少なくとも私は知りません。
また、近い業界で言えば、ユニクロやワークマンのように、メディアで話題になるようなことをしたでしょうか。飲食業界の「くら寿司」や「新宿歌舞伎横丁」のような、新しい切り口のマーケティング手法を提案したでしょうか。
さらに言えば、5社の経営者がメディアに取り上げられることも少ないです。それだけ、話題に乏しいということでしょう。