エッフェル塔ポーズが大炎上。自民女性局の記念写真は何が問題だったのか?

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SNSにアップした海外研修中のエッフェル塔前での記念写真が大炎上し、謝罪に追い込まれた自民党女性局長の松川るい参院議員。識者はこの事態をどう見たのでしょうか。メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』では米国在住作家の冷泉彰彦さんが、「今回の動きは軽率」としてそう判断する理由を解説。自民と敵対する勢力に「ポイント」を稼がせるかのような愚行を論外とバッサリ斬っています。

※本記事は有料メルマガ『冷泉彰彦のプリンストン通信』2023年8月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

自民女性議員「フランス記念写真」がSNSで大炎上、いったい何が問題なのか?

自民党「女性局」の参加議員(国会議員と地方議員38名)がフランスへの海外研修に行き、一部の議員たちがエッフェル塔を背景にポーズを取る写真がSNSに上がったそうです。これに対しては、「血税で旅行か」などと批判のコメントが多数書き込まれる事態となり、当該の写真は削除されています。

この問題ですが、大阪参議院で維新票に対して善戦し続けていると同時に、外交官出身ながらポピュリズムとは一線を画して実務的な政策発信を続けている、松川るい議員が絡んでいるのが気になります。もしかしたら、松川議員の足を引っ張ろうという勢力が何らかの動きをしたのかもしれません。

それはともかく、やはり今回の動きは軽率です。何故ならば「少子化対策についてフランスを視察する」というのは、大変な覚悟が必要だからです。

フランスの出生率(合計特殊出生率)は、1.88前後となっており、安定していると言われています。その原因としては、

  • 子育て家庭や子供本人への手厚い経済的支援
  • 婚外子が過半数超え(61%)という家族の多様化

が指摘されています。内閣府や厚労省などは、この事例を研究して様々な形でレポートしていますが、実際に政策に踏み込むとなると、強い抵抗勢力が出てくるようです。

特に婚外子の問題は、日本の場合ですと夫婦別姓の選択制ですら「自分が属している国柄がガラガラと壊れてしまう」というような原理主義的な態度が高齢世代には残っており、多くの政治家はこれと戦うことから逃げています。現金給付についても、賛否両論があり、政治家が取り組むのには勇気が要ります。

考えてみれば、今回の研修旅行について「フランスが行った義務教育開始年齢の3歳への引き下げについて、目的や効果などを調査するのが狙い」だったなどと説明しているのは、現金給付と婚外子という「本筋」から逃げるためという見方も可能です。だとしたら、最初から戦いに負けているとも言えます。そんな弱腰だから、SNSのエントリを拾われて罠に落ちるのです。

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