リクルートの「スタサプ」に学ぶ、予測が通用しない市場でのマーケティング展開法

2023.09.12
 

スタサプの場合

リクルートのインターネット教育事業のスタディサプリについては、2022年8月8日のMAG2NEWSでも取りあげた。そこで紹介したように、2012年にインターネット予備校を開業したスタサプは、わが国の教育サービスにおけるひとつのイノベーションを成し遂げている。スタサプによって、日本においても個人向けのインターネット学習の利用が広がるとともに、学校向けの補助教材としての動画配信などの利用も拡大している。

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このスタサプの歩みは、先の3つの不確実性との取っ組み合いを通じて進んでいった。その歩みのポイントを振り返ってみよう。

2020年にスタサプはコロナ禍に直面する。これは状態の不確実性だといえる。想定外の状態が市場で起きたのである。スタサプは、そこでの新しい日常に反応しながら新たな展開を進めることで、インターネット教育事業のさらなる拡大を実現している。

さらに、その創業からの歩みを振り返れば、スタサプは効果の不確実性とも渡り合うことで発展を果たしている。開業当初のスタサプは、個人向けのインターネット教育事業にはサブスク型の料金プランが適していること、そして学校向けのインターネット教育事業には授業動画の質や数に加えて、学習管理システムの充実が必要となることには気づいていなかった。そのためにリリース後のスタサプは、想定外の販売不振に陥ったり、小さな受注しか獲得できなかったりする。しかし、スタサプは実験的に新たな料金プランを導入したり、学習管理ステムを追加したりすることで、事前には予測できていなかった成功の鍵要因(Key Factor of Success)を、行動のなかで理解し、そのもとでの事業拡大を実現していく。

加えてスタサプは、反応の不確実性を乗り越えることでも発展を果たしている。スタサプの事業のきっかけは、インターネット教育事業とは異なる別の事業でのマーケティングリサーチから生まれている。そして当初のスタサプは、個人向けのインターネット教育事業をねらっており、学校向けのインターネット教育事業の確立を目的にしていたわけではない。しかし、これらの想定外の目的にも柔軟にチャレンジしていくことで、スタサプは成長の機会をつかんでいく。

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