共働きの子育て世帯にとってご近所の世話好きの存在は、心強い助けとなるもの。ただし、望んでもいないお世話の頻度や程度がすぎると、「おせっかい」に感じられ、断りづらくて悩みとなってしまいます。今回のメルマガ『公認心理師永藤かおるの「勇気の処方箋」―それってアドラー的にどうなのよ―』では、中学生の娘さんが小さな頃からお付き合いがあるというご近所さんに悩まされている母親に、公認心理師の永藤さんが上手な距離の取り方をアドバイス。お世話にもなり悪気のない相手をどうしても遠ざけたいのであれば「覚悟をもって」と伝えています。
ちょっと御相談がありまして:おせっかいな人を遠ざけたい
皆様からお寄せいただいたご相談や質問にお答えしたり、一緒に考えたりしていきます。
Question
40代女性、共働きで中学生の娘がいます。近所に住む60代後半の女性が、何かとおせっかいをしてきます。具体的には、いらない手作りの趣味の品を押しつけてきたり、傷んでいる野菜を大量にくれたり、好みの合わないお惣菜を大きなタッパーで持って来たり、という感じです。
彼女いわく「ご両親共働きで、娘さんは家庭の味とかをよく知らないでしょう?だからこういう煮ものとか食べさせてあげて」とか「手作りのものって、既製品より心がこもっているから、こういうものを持った方がいいわよ」とか。
正直言って、うんざりなのです。確かに娘が小さい頃は、急に熱を出したりしたときや仕事の都合がつかなくてお迎えに行けないときなどに頼らせてもらったことがありました。それは本当に感謝していますし、相応のお礼もしています。お会いした時には、愛想よく接しています。
でも、娘も私も、彼女の押しつけがましさや彼女の正義感に、辟易としているのです。娘も先日、たまたま同級生の男の子と何気ない立ち話をしていたら、彼女にものすごい勢いで怒られたそうで、「近所で会うのが怖い」と言っています。
角が立たないようにいろいろお断りするにはどうしたらいいのでしょうか?夫は「あのおばさん、昔からおせっかいで有名だから、どうにかしようなんて無理だよ」とあきらめています。
【永藤より愛をこめて】
ああ、いらっしゃいますよね……。相談者様の心の内、お察しします。
彼女にしてみれば、もう家族同然親戚同然なのかもしれませんが、こちらにしてみれば赤の他人ですよね。私自身も、自分の心のテリトリーにズカズカ土足で入られたり、頼んでもいないことをされたら、迷惑にこそ思えどありがたいなんてちっとも思えない人間なので、「辟易」「うんざり」がとてもよくわかります。
「角が立たないようにいろいろお断り」は、相手が悪気がない分とても難しいのは確かですよね。どの程度の頻度で会ったり話したりしているのかにもよりますが、少なくとも「いやだな、めんどうだな」という気持ちがあるのであれば、現状よりも物理的な接触を減らしていく努力をした方が、心の平穏に近づけると思います。
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