日経新聞に担がれ自慢話。「物価高の犯人」黒田東彦前日銀総裁の“厚顔無恥”

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今年11月の『日経新聞』の名物コラム「私の履歴書」に登場したのは、辛口評論家の佐高信さんが「株価の番人」で「物価高の犯人」と厳しく批判する前日銀総裁の黒田東彦氏でした。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、総裁時代の黒田氏が、旧ジャニーズ事務所の会見でも問題になった「NG記者」を作っていたとする『朝日』記者の証言を紹介。大企業に内部留保を蓄えさせ、庶民を苦しめる物価高を招いた黒田氏の「ラチもない自慢話」を掲載する『日経』に対しても、以前から用いている辛辣な異名を浴びせて批判しています。

黒田は物価ならぬ株価の番人だった

前日銀総裁の黒田東彦が11月1日から『日経』の「私の履歴書」の連載を始めたことが話題になっている。安倍晋三が、政権寄りの検事長の黒川弘務を検事総長にしようとして、直前で挫折したが、黒田も黒川と同じで、日銀総裁にしてはいけない人だった。

案の定、異次元の金融緩和とか言って、金融をジャブジャブにし、「物価の番人」であるべきなのに「株価の番人」になってしまった。そのツケは尾を引いていて、物価は上がり続けている。

黒田の前任者は白川方明だった。だから、シロがクロになったと言われたが、物価については明らかに黒田はクロ、すなわち物価高の犯人である。労働組合(連合)がまったく闘わなかったこともあって、企業の内部留保だけがたまりつづけ、何と500兆円にも達している。異次元の内部留保であり、それは操作された株高の遠因ともなっている。

そんな黒田を「私の履歴書」に登場させた『日経』は、さすが「株式会社・日本の社内報」である。そう書いて、以後、私は同紙からパージされている。

安倍は「日銀は政府の子会社」と言い、黒田は総裁時代、「家計の値上げ許容度は高まってる」と日銀総裁にあるまじき講演をして反発を受け、あわてて取り消した。しかし、それは取り消しのきかない発言である。

黒田について、『朝日新聞』の原真人が、さもありなんという指摘をしている。松下康雄、速水優、福井俊彦、そして白川と4人の総裁の取材をしてきたが、みんな、国民への説明責任を果たそうとしていた。ところが、黒田になって記者会見のスタイルが変わったという。

それまでは早い者順に自由に質問できたのに、質問者を総裁が指名するようになったのである。そして、黒田が踏み切った異次元緩和に批判的な記者は指名されなくなった。原もその1人で、手をあげつづけたが無視された。まさにジャニーズ事務所の会見でクローズアップされた「NG記者」である。日経の記者はそうではなかっただろう。

物価高と日銀総裁は容易につながらなくなってしまったが、密接な関係がある。日銀は「物価の番人」であり、インフレファイターとして通貨の価値を守るのが本来の役割である。

黒田の頭の中にはないだろうが、中央銀行は「職業的心配屋」と呼ばれる。いつも通貨の価値が下がることを心配して、時に政権と対立するからである。現在は異常なまでの円安だが、それだけで黒田は総裁失格なのだ。それなのに『日経』でラチもない自慢話を書き散らしている。その居直り的鈍感さには呆れるばかりか、載せている『日経』にも腹が立つ。

1984年に退任した前川春雄や、バブル退治をやって、私が“現代の鬼平”と名づけた三重野康など、近来でも日銀らしい総裁はいた。しかし、安倍によって、日銀の独立性は破壊され、その忠犬の黒田が総裁になった。黒田はためらいもなく勲章を受けるだろうが、前川は「人間に等級をつける勲章は好まない」と言って叙勲を断ったのである。

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image by:Asian Development Bank, CC BY 2.0, ウィキメディア・コモンズ経由で

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