日夜報じられる中東の戦火ですが、地政学的に重要なイスラエル・パレスチナという地域の紛争は世界中が動向を注視しています。そんな中、地球の温暖化によって新しい「地政学的に重要な地域」が出来つつあることをご存じでしょうか? 今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、海外紙の記事を紹介する形で「北極」が注目されている理由について解説しています。この「北極」、日本にとっても重要な地域のようです。
重要性が増す「北極」を海外紙はどう報じているのか?
イスラエルの紛争が毎日のように報道されています。
民族と宗教が長年にわたり絡みあった問題ですが、地政学的な重要性もあります。
アフリカとアジア・欧州を結ぶ位置にあり、また西側は地中海に開けており、南端は紅海に続くアカバ湾に面しているからです。
地政学的に重要な位置は、「チョークポイント」とも呼ばれます。もともと海洋国家の地政学における概念です。
具体的には、海峡や運河などの海上に限らず、陸上における峡谷や橋なども含めた要衝、隘路を表します。
エネルギー輸送や軍事的にも大変重要と考えられます。
チョークポイントは変化しないのですが、地球の温暖化であたらしいチョークポイントができつつあります。
それが北極です。
11月25日の香港サウスチャイナモーニングポスト紙の記事を紹介しましょう。
北極圏の氷が溶けることで、大型船舶の航行が容易になり、新たな航路ができる。
ロシアが管理する北海航路は2035年の夏には不凍港となりスエズ運河に比べて航行時間が30~40%短縮されるという予測もある。
しかし、それ以上に重要なのは、ロシア海軍が大西洋と太平洋を自由に行き来できるようになることだ。
上海国際問題研究院ロシア・中央アジア研究センターは、「北極はロシアと西側が戦略的・安全保障上で対立する新たな場所」になる可能性が高いと述べた。
解説
北極は新たな航路ができることで軍事的な有効性が格段に上がりつつあるのです。
さらに北極を囲む国にはスウェーデン、フィンランドという新たにNATOに参加する国もあります。
記事ではそこに中国の関与も記しています。
中国はロシアの石油とガスも購入しており一部は北方海路を通じて輸送されている。
2021年以来、中国海軍の艦艇はロシアの艦艇と一緒にアラスカ沖を定期的に航行している。
今年4月、中国とロシアは海上法執行で協力する協定に調印した。
中国のビジネスリーダーたちも資源豊富なロシアの北極圏を訪れている。
プーチン大統領は、先月に中国北京で開催された「一帯一路国際協力フォーラム」に出席した際、ロシア北極圏への投資を呼びかけた。
解説
北極で、ロシアと中国の協力体制がどのように進展するのかNATO、西側諸国が注目しています。
日本にも影響があることです。北極がこれから注目すべき地域であることに間違いありません。
社会の分断化を推し進める「バランスを欠いた報道」を見極めるために
メルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 では、在米14年の経験と起業家としての視線、そして大学教授という立場から、世界で起きているさまざまなニュースを多角的な視点で分析。そして各種マスコミによる「印象操作」に惑わされないためのポイントを解説しています。11月中であれば、11月配信分のメルマガ全てが「初月無料」でお読みいただけます。この機会にぜひご登録ください。
月額:¥330(税込)/月
発行日:毎週 日曜日(年末年始を除く)
形式:PC・携帯向け/テキスト・HTML形式
この記事の著者・大澤裕さんのメルマガ
image by: Vladimir Turkenich / Shutterstock.com